すでに過当競争がはじまっていた航空業界に新規参入したエアラインが選んだ“ホット”な経営戦略とは!?それは客室乗務員の美脚を強調するホットパンツを制服に採用することだった――。
新規参入するサウスウエスト航空は“若い女性”
旅客機の客室乗務員が「スチュワーデス」と呼ばれなくなって久しく経つが、さらにそのほんの少し前には「エアホステス」と呼ばれていた時代もあった。その意味するところは“空のお水系接客業”ということになる。
1971年にアメリカの空港に登場したサウスウエスト航空(Southwest Airlines)は、オレンジ色のホットパンツ姿のホステスたちが客室内を所狭しと闊歩するサービスで一躍注目を集めた。
ホステスのユニフォームは「オレンジ色のニットのトップス、幅広の白いベルト、白いサイドレースのゴーゴーブーツ、ファイヤーオレンジのホットパンツ」で構成されていたのだ。
サウスウエスト航空の創業時の社長であるラマー・ミューズは、最初からほかの航空会社とは別の方法でサービスを行うことを決めていたという。
当時のホステスの1人、サリー・グレンは「ラマーはできるとは思えないことをやらせる手法を持っていました」と述懐する。
当時の同社広告戦略部の部長であるレイ・トラップは、競争が激化した業界でサウスウエスト航空を差別化する任務を負っていた。
「他の航空会社は退屈だと感じました。サウスウエストはもっと快活になる必要がありました」(レイ・トラップ)
そして彼とダラスのブルーム広告のチームは、サウスウエスト航空を「若い女性」として定義したのである。
「この“女性”は若くて元気です。彼女は魅力的で、素晴らしい才能と活力を持って人生を歩んでいます。その一方で彼女は非常に効率的で、すべての仕事に注意を払って取り組んでいます」(広告戦略チーム)
チームは当時まだ長引いていた“ヒッピームーブメント”に倣ってサウスウエスト航空を「愛の航空会社」として印象付けたいと画策した。
そのため航空券が「ラブマシーン」から発券されるようになり、機内で提供されるスナックが「ラブバイト(キスや甘噛みの跡)」になり、無料の機内ドリンクを「ラブポーション(媚薬、惚れ薬)」と呼ぶネーミングが施されたのだ。
制服は美脚が映える“ホットパンツ”
「私たちは、陽気で外向的なホステスを探していました。彼女たちにはユーモアのセンスと魅力的な性格が必須でした」とトラップは回想する。
運航開始に先立って客室乗務員の募集が行われたが、募集広告のキャッチコピーは「ラクエル・ウェルチさん募集」であった。
つまり「20世紀最高のグラマー」と称される人気女優、ラクエル・ウェルチさんのようなホステスを大々的に募集したのである(ちなみにラルク・ウェルチさんは先月15日に逝去された。享年82)。
募集広告の本文にも趣向が凝らされている。
「ラクエル・ウェルチさん、あなたは私たちが探している女の子の典型です。温厚で、人懐っこく、ホットパンツを格好良く履きこなす、あなたのような女の子を他に知っているなら(20歳以上、視力0.4以上、眼鏡なし、身長158センチから170センチ、体重45キロから60キロ)簡単な経歴書と最近の写真を送ってくれるよう頼んでくれませんか」(募集広告より)
面接時には「脚を見せることになる」という理由でホットパンツを履いてくることが求められ、採用された女性客室乗務員はその80パーセント以上が学生時代にバトンガールやチアリーダーの経験を持つ者であったということだ。
1200件の応募があり、そのうちの1人はラマー・ミューズ社長の実の娘である、デビー・ミューズ・カールソンであった。
「ホステスになるには、素晴らしい脚が必要でした」と彼女は後で話している。
ホステスはもちろん、スチュワーデスという言葉も使われなくなった今日、当然だがこのようなホットパンツの制服はとっくの昔に廃止されているが、サウスウエスト航空は依然としてアメリカの主要航空会社の1つであり、世界最大の格安航空会社である。“デビュー時”の斬新で奇抜な印象操作が功を奏したと言えるのだろうか。
現在ではコンプライアンス的にもまず不可能と言える“ホットパンツ制服”だけに、その昔に搭乗したことがあるという人はなかなか貴重な体験をしていたことになりそうだ。
参考:「Daily Star」ほか
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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