昨今、不要な脂肪を強制的にエネルギーに変換することで、体の調子を整える「16時間断食ダイエット」が注目されている。賛否両論はあるものの、断続的な断食は神経発生の活性化にも効果をもたらすという。

一般的に記憶力は老化に伴って衰えるものだと考えられているが、海馬は一日に7億ものニューロンを生産することができるため、一定の代謝を保っている限り、年齢問わず、誰でも脳の一部を成長させ続けることができるのだ。2020年の記事から、効率的にニューロンを入れ替えるために役立つ科学的な解決策を4つ紹介する。

※ こちらの記事は2020年5月5日の記事を再掲しています。

年を重ね、そのうえ不摂生な生活を続けていれば身体も脳も衰弱する一方だ。しかし、諦めてはいけない。大人になってからでも脳の一部は成長を続けることができる。心がけ次第で我々の脳は、生まれたての赤ちゃんのようにすくすくと発達させることができるのだ。

■成人の脳は2つの領域でまだ成長可能

成長期が終われば身長の伸びは止まるが、脳の場合は成長期が終っても2つの領域ではまだ新たな神経細胞の生成が可能だ。神経幹細胞や前駆細胞から新たな神経細胞が分化する生理現象である神経発生(neurogenesis)が、成人の脳の嗅球(olfactory bulb)と、海馬(hippocampus)の2つの領域でまだ可能なのである。

特に海馬は成人であっても1日に7億ものニューロンを生産し、脳の古いニューロンと入れ替えることができるという。しかし、このニューロンの交換がうまく行われない場合、記憶力の維持などの特定の能力に悪影響を及ぼすことがある。

どうすれば新たに生成したニューロンをスムーズに入れ替え、脳を若々しく保ち、さらには発達させることができるのか。サイエンスの側からの解決策は4つあるということだ。

大人の脳を成長させる4つの方法とは? 断続的な断食は神経発生を活性化
(画像=『TOCANA』より 引用)

画像は「Big Think」より引用

●断続的断食

24時間以内のいわば“プチ断食”である断続的断食(Intermittent Fasting)で、海馬の神経発生をより活発にできることが最近の研究で報告されている。

シンガポール国立大学の研究チームが2019年12月に「Brain and Behavior」で発表した研究では、マウスを使った実験で、それぞれ12時間、16時間、24時間の断続的断食が海馬の神経発生に及ぼす影響を検証している。

どの断続的断食であっても、断食をしない個体よりも海馬の神経発生が活発になったのだが、16時間の断続的断食が最も神経発生の活性化に効果的であったという。

2015年の米スタンフォード大学の研究でも同様の結果が報告されており、特に16時間の断続的断食を毎日続ける場合と、週に1度24時間断食を行う場合とで神経発生がより活性化することが報告されている。いずれにしても断食は総じて“脳に良い”ようだ。

大人の脳を成長させる4つの方法とは? 断続的な断食は神経発生を活性化
(画像=『TOCANA』より 引用)

画像は「Big Think」より引用

●初めて訪れる場所への旅行

風光明媚な景観に浸り、新鮮な体験をもたらしてくれる旅行もまた“脳に良い”。旅行で得られる新奇な体験で脳の神経発生が促進されるのである。

米ピッツバーグ大学の臨床神経心理学者であるポール・ヌスバウム氏は、旅行にはきわめて明確な精神的メリットがあると解説している。

「斬新で複雑な、または初めて直面する困難な環境に脳をさらすと、脳は強い反応を見せます。そうした新しくて困難な状況により、脳は樹状突起を発芽させ、脳の能力を増大させます」(ポール・ヌスバウム氏)

●新たな楽器を学ぶ

音楽が及ぼすメンタルの健康メリットは長い間研究されてきたが、新たな楽器を学ぶことで新しいニューロンの成長が促進される。

ハーバードメディカルスクールの2010年の研究によると、新たな楽器の演奏を学ぶことは、多くの感覚を駆使する激しい運動体験であり、脳内に新たな神経ネットワークを形成する。特に子どもの頃に新たな楽器演奏を習得することは、脳組織の長期にわたる変化をもたらす可能性がある。

もちろん成人期に楽器を学ぶことでも神経発生が促進されるが、7歳より前に楽器の練習を始めた子どもは、脳の左右の大脳半球をつなぐ脳梁が非常に大きくなることが示されている。このことは、親として知っておいてもよさそうだ。

大人の脳を成長させる4つの方法とは? 断続的な断食は神経発生を活性化
(画像=『TOCANA』より 引用)

画像は「Big Think」より引用

●小説を読む

米エモリー大学の調査によると、小説を読んだ後、実験参加者の脳では接続性の向上が見られた。また、身体の感覚と動きを制御する領域で脳活動の強化が観察された。

主任研究員のグレゴリー・バーンズ氏によると、小説を読むことは、読者が主人公の身体に成り変わる体験になると説明している。別の肉体の精神状態に移行するこの能力は、脳の健康な神経発生を促進する重要なスキルであるということだ。

大人の脳を成長させる4つの方法とは? 断続的な断食は神経発生を活性化
(画像=『TOCANA』より 引用)

画像は「Big Think」より引用

これら4つの方法で脳を活性化し、大人になってからでも新たな能力の開発に果敢に挑んでみるのも一興かもしれない。

参考:「Big Think」、「Big Think」、ほか

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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