山形県の蔵王といえばスキー場、樹氷、温泉天国など、冬のイメージをお持ちの方も多いと思います。

中でも蔵王ロープウェイといえば、スキーシーズンに山頂まで登って一気に滑り降りる移動手段というイメージですが、雪のないグリーンシーズン、しかも普段は動いていない夜間にロープウェイで天上に登ることによって見える風景・世界があります。

そんな夜の蔵王ロープウェイを体験してきましたのでレポートします。

(取材日:2020年9月16日)

目次

昼には見ることのできない夜だけの蔵王の世界

夜の蔵王ロープウェイに乗って体感できることは、ひとことで言うと「夕焼け」「星空」「夜景」「静けさ」の4つです。

賑やかな昼間には感じることのできない、神聖で幻想的でロマンチックな、夜だけの世界がそこに広がります。

(写真=たびこふれより引用)

こちらがロープウェイ蔵王山麓駅(標高855m)です。ここから中間駅「樹氷高原駅(1,331m)」を経て「蔵王山頂駅(1,661m)」まで2機のロープウェイを乗り継いで登ります。

(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)

蔵王山麓駅から樹氷高原駅までの山麓線は複線交走式普通索道式で(立席含め最大53名乗車可)樹氷高原駅までを7分で結んでいます。現在はコロナウイルス感染対策として乗車定員を絞って運行しています。

(写真=たびこふれより引用)

私がロープウェイに乗った時刻は17時過ぎ、そろそろ夕暮れが近づく黄昏時です。普段は運行が終了している17時以降にロープウェイに乗ること自体がこれまでにない初めての体験でした。

(写真=たびこふれより引用)

ロープウェイは針葉樹の間を縫ってぐんぐん登っていきます。

【樹氷高原駅】ブナ林を抜けて百万人テラスから見える景色

(写真=たびこふれより引用)

出発地点の蔵王山麓駅から7分乗車し、中間駅である樹氷高原駅に到着しました。

(写真=たびこふれより引用)

駅からブナ林の中を約5分ほど歩きます。木のチップにより足元がふかふかで気持ちいい、ちょっとした森林浴を楽しめます。

(写真=たびこふれより引用)

そして視界がパッと開けてきます。

(写真=たびこふれより引用)

こちらが百万人テラスです。

(写真=たびこふれより引用)

百万人テラスにはソファやチェアが設置され、ゆったりくつろいでテラスから景色を眺めることができます。

(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)

恋人同士で素敵な夕景を眺める、そんなロマンチックな時を過ごせそうです。

(写真=たびこふれより引用)

百万人テラスから空を見上げると・・・

(写真=たびこふれより引用)

下界は残暑がまとわりつく蒸し暑さですが、この場所は風爽やかで空は青く澄んでいました。気持ちいい~。

さらに少し歩くと・・・

(写真=たびこふれより引用)

ハンモックが置いてありました。

(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)

ハンモックに座る時に少しコツがいるようです。

(写真=たびこふれより引用)

同行した女性陣もハンモックを初めて体験し、その独特の浮遊感を楽しんでいました。さて樹氷高原駅まで戻り、ロープウェイを乗り換えて蔵王山頂駅に向きます。

(写真=たびこふれより引用)

樹氷高原駅から蔵王山頂駅までの山麓線は複式単線自動循環式で(乗車定員は18名/座席)山頂駅までを10分で結んでいます。

(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)

辺りはどっぷりと日が暮れてきました。

(写真=たびこふれより引用)

見下ろす山々をもやが覆って幻想的な雲上の世界です。ますますロマンチック感が増してきます。

(写真=たびこふれより引用)

この木々が冬には樹氷になります。

【蔵王山頂駅】山頂テラスで夕焼けと星空に包まれる

さて終点である蔵王山頂駅に到着しました。駅の屋上に登って見える風景がこちらです。

(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)
(写真=たびこふれより引用)

この取材日の前後は天候不良が続いていましたが奇跡的に太陽が輝きました。雲はありますが、逆に雲があることによって、より一層夕焼けが映えました。

(写真=たびこふれより引用)

災難除け地蔵「蔵王地蔵尊」

蔵王山頂駅から歩くこと約10分。立派なお地蔵さんが私たちを出迎えてくれました。

(写真=たびこふれより引用)

蔵王地蔵尊は江戸時代中期の1775年に造立されました。高さ2.36mの座像で完成まで37年を要したそうです。蔵王は険しい山で当時遭難者が絶えなかったことから建てられたそうですが、今から約240年以上も前のロープウェイもなかった時代にどうやってこの巨大なお地蔵さまを1661mの山頂まで運ぶことができたのか・・・

このお地蔵さまが出来てから不思議と遭難者は減ったそうで「災難除け地蔵」とも呼ばれるようになったそうです。

(写真=たびこふれより引用)

そしてお地蔵さまのある場所から後ろを振り向くと山頂駅の建物と美しい夕景を拝むことができました。

(写真=たびこふれより引用)

本来であればこの場所で星空観測ができます。「星のソムリエ」という星空案内人が空や宇宙のことを解説してくれるのですが、この日は残念ながら星を見ることはできず・・・自然現象ですからしょうがありません。

蔵王ロープウェイの基本情報

住 所:山形市蔵王温泉229-3
アクセス:JR山形駅からバスで約45分
通常の営業時間(変更の場合あり):山麓線 8:30~17:00 / 山頂線 8:45~16:45
料金(一例):山頂駅まで 大人 片道1,500円 往復3,000円 (子供割引、団体割引あり)

最後に

スキー場で昼間に見る風景とはまた違った、蔵王の世界を見ることができました。

百万人テラスでソファに腰を沈めて見る下界の夜景や山並みはまるで絵画のようでした。爽やかに澄んだ空気のもとでハンモックに揺られる浮遊感は初めて味わうものでとても癒されました。山頂テラスからの夕暮れはそこまで登ってきた旅人だけに与えられるご褒美です。

山に登る人々を240年前から優しく見守るお地蔵さまは大仏さまのようなどっしりとした頼もしさがありました。

そして帰り道のロープウェイでは闇の中で「静寂」を感じました。自分が宇宙の中にいるようなそんな不思議な感覚に包まれました。

蔵王ロープウェイの新しい楽しみ方、サマーナイトクルージング。

あなたも一度この世界を体験してみませんか。とっても素敵な世界を見ることができますよ。

この記事を書いた人・シンジーノ
3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

文・写真シンジーノ/提供元・たびこふれ

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