水墨画の巨匠、雪舟の世界をVRで巡る──デジタル時代ならではの鑑賞体験が再び可能となる。
VR作品『雪舟 ―山水画を巡る―』の再上演が6月11日(日)までの期間、東京国立博物館 東洋館内の「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で行われる。
加えて3月8日(水)よりニコニコ動画にて同作品を配信、貴重なメイキング映像を特典映像として初公開している。
国宝と重要文化財をVRで記録『雪舟 ―山水画を巡る―』
東京国立博物館監修、凸版印刷が制作したVR作品『雪舟 ―山水画を巡る―』で取り上げるのは、雪舟の作品のうち同館所蔵で雪舟の特徴をよく表すとされる3作品だ。
国宝「破墨山水図(はぼくさんすいず)」は、輪郭線を用いず墨をはね散らすような画法が特徴の1幅。図上には雪舟自身による序文と6人の禅僧による画賛があり、雪舟の足跡を辿る資料としての価値もある。
比較的筆を早く走らせて描かれた作品だと考えられており、VR作品では現代水墨画家の浅見貴子氏と共同で筆運び順を解析。雪舟による描画の全工程を映像再現している。
緻密なアーカイブデータの分析と、現代水墨画家の知見により、雪舟の筆運びが現代によみがえる。
国宝「秋冬山水図(しゅうとうさんすいず)」は、構築的な空間構成や強調された輪郭線などに、多様な様式学習を経て自己の作風を確立した雪舟様式の特徴が見出せる。
重要文化財「四季山水図(しきさんすいず)」は雪舟が中国に滞在中か、その前後に描いたとされる4幅からなる大作。ダイナミックでありながらも骨組みがしっかりした構図は、雪舟の画業の中でも中国への意識が強く感じられる、珍しい画風とされる。
VR作品では、「秋冬山水図」「四季山水図」の岩や山の遠近関係等を、VRやアニメーションとしてわかりやすく再構成。
中国には古来「臥遊(がゆう)」という鑑賞形態があるという。鑑賞者の想像力によって、絵に描かれた地を巡り山水風景を楽しむものだが、同VR作品では300インチの巨大スクリーン映像でそれを表現。
雪舟作品の特徴のひとつとされる力強い墨の線で構築された大胆な構図を、掛軸に描かれた山水画の中に入り込むような臨場感あふれる体験として提供する。
貴重なメイキング映像は必見
会場となる「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」は、超高精細4Kプロジェクタ、300インチスクリーン、専属ナビゲーターのライブ上演などにより、文化財の新しい鑑賞体験ができる施設だ。
再上演に際して、ニコニコ動画でも同作品を配信。特典映像として、『雪舟 ―山水画を巡る―』公開に至るまでの過程を記録したメイキング映像を追加する。アーカイブの様子や、映像編集の様子などの貴重な記録映像を通して、より深くVR作品を楽しむことができる。
メイキング映像とあわせ、現地に足を運べば何倍もの深みをもって楽しめるだろう。
VR作品『雪舟 ―山水画を巡る―』上演
期間:開催中~6月11日(日)
会場:東京国立博物館 東洋館地下1階 TNM & TOPPAN ミュージアムシアター
所在地:東京都台東区上野公園13-9
スケジュール:水・木・金12:00、13:00、14:00、15:00、16:00/土・日・祝・休日11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00(所要時間約35分)
料金:高校生以上600円
定員:各回90名
VR作品『雪舟 ―山水画を巡る―』映像配信
配信プラットフォーム:ニコニコチャンネル内「TNM & TOPPAN ミュージアムシアターチャンネル」
配信期間:3月8日(水)~
視聴期間:購入から7日間
料金:300円(税込)
※事前にニコニコポイント(1ポイント=1円相当)を購入して料金を支払う
(SAYA)
※上演スケジュール、定員は都合により変更する場合がある
※映像配信は予告なく終了する場合がある