3月19日(日)、創業330余年の京都のお麩・ゆば専門店「半兵衛麸」が、鴨川五条大橋そばに“食”の複合型施設をグランドオープンする。

明治期の京町家と昭和初期の洋館など、これまで「半兵衛麸」が歩んで来た歴史を感じさせる設えに加え、大きな窓から五条大橋や鴨川をのぞむ明るく現代的なカフェなど、“温故知新”や“不易流行”の要素も加わる。

次の京都旅行で寄ってみたい、新名所の誕生だ。

伝統を受け継ぐ京都の「半兵衛麸」

「半兵衛麸」は、なま麩とやき麩の「京麩」、そして「京ゆば」の専門店。創業は1689年。初代玉置半兵衛が宮中で覚えた技を使って、麩屋を開いたのが始まりだ。

お麩づくりに欠かせない主原料は、京都の清らかな水と厳選された小麦。初代の技を受け継いで、330年以上経った今も、職人が今もひとつひとつ手づくりしている。

また、明治期からは、寺院に請われて「ゆば」もつくるようになった。

回遊しながら、京都の食文化を知る

同施設の中庭には、生麩工場とゆば工場があり、京の町をモチーフにしたというユニークな中庭を囲むようにして、それぞれの建物がつながっている。

お土産の購入やカフェが楽しめる五条ビル

鴨川をのぞむガラス張りの五条ビルの1階は、半兵衛麸の商品が揃う本店ショップとなっている。

同店では、なま麩にやき麩、ゆば、甘味など、半兵衛麸の商品ほぼすべてを扱っている。お土産や贈答品なども充実し、日持ちに優れ、使いやすい冷凍品もある。

2階はイベントスペース「ホールKeiryu」で、さまざまなイベントが開催される。時には京都発信の現代アートの展覧会などを開くこともある。

圧巻なのは何といっても3階カフェからの眺めだ。お麩やゆば・豆乳などを使ったアイデアメニューが豊富な「Cafeふふふあん」は、全面ガラス張りで、眼下には鴨川が流れ、五条大橋の堂々たる姿や四季折々の美しさが満喫できる。

広々した空間に70席を設けた同カフェは、時の移ろいを感じつつ、ひとひねりしたお麩やゆばのアイデアメニューを味わえ、身も心もゆったりとくつろげる。

石造りの洋館でできたてを味わう

昭和に建てられた石造の洋館の1・2階は「茶房 半兵衛」だ。オーセンティックなお麩とゆばの料理「むし養い」を供する同店では、隣接した工場から届くできたてのお麩やゆばが味わえる。

博物館のある京町家

築120年の伝統的な京町家には「お辨當箱(べんとうばこ)博物館」があり、戦国から江戸時代の人々が、花見や蛍狩りなど、四季折々の遊行に携えていった食の道具たちを展示する。

華やかな蒔絵や螺鈿細工があったり、陶器や錫でシンプルに造形されていたりと、美術品のようなものたちを無料で観覧できる。

伝統を大切に受け継ぎつつ、果敢にチャレンジも試みる「半兵衛麸」の新しい展開を楽しんでみよう。

半兵衛麩
所在地:京都市東山区問屋町通五条下る 上人町433

(MOCA.O)