【フィットネス総合研究所上席研究員 八角卓克氏の回答】監修:岡田隆(日本体育大学体育学部教授)
48~72時間の間隔でトレーニングを繰り返すと、筋肉を効率的に鍛えることができるというシンプルな理論です。
筋トレをすると、微細な損傷が起きて一時的に筋力が落ちますが、48~72時間ほどで修復されていきます。この回復が終わると、筋肉は以前のベースラインよりも強くなっていることが知られており、これを超回復といいます。超回復が過ぎて、ベースが上がった段階でトレーニングをすると、さらに筋力がどんどん上がっていくのです。48~72時間の間隔でトレーニングを繰り返すと、筋肉を効率的に鍛えることができるというシンプルな理論です。
これは主に初心者に有益なもので、高頻度でトレーニングをする人は、あまりにもシンプルすぎて、一概には当てはまりません。つまり、これをずっと続けていればどこまでも強くなるかといえば、そうではない人も多いのです。ただ、初心者のうちは、これに則っていると前進できます。前よりも大きな負荷を加えて重量を増やしていき、かつしっかりと休養する(漸進性の原則)。休んで回復したと思ったらトレーニングする。この繰り返しが初心者には必要です。
ちなみに、上級者には「フィットネス-疲労理論」もあります。超回復理論は、ストレスだけを表すものであった一方で、フィットネス-疲労理論は、体力(フィットネス)と疲労とを一緒に考えるものです。トレーニングをすると、体力レベルは向上し、疲労は増加しますが、疲労が戻ると同時に体力レベルも同じように戻っていくわけではありません。実は、少し疲労がある状態のほうが、パフォーマンスは高くなります。パフォーマンスを保つのが大切であり、体力レベルと疲労レベルをその時の状況に合わせてトレーニングするのか休息をとるほうがいいのかという、より複雑な理論です。主にアスリートに対して応用されています。
八角卓克(はっかく・たかよし)
1991年11月15日生まれ、千葉県出身。日本体育大学大学院体育科学研究科博士前期課程健康科学・スポーツ医科学系修了(体育科学)、柔道整復師、健康運動指導士、JSPO-AT、NSCA-CSCSなど数々の資格を有する。株式会社LIFEBUILDINGフィットネス総合研究所上席研究員、日本健康医療専門学校などで講師を務める。
岡田 隆(おかだ・たかし)
1980年1月6日生まれ、愛知県出身。日本体育大学体育学部教授。日本体育大学体育学部卒業、日本体育大学大学院体育科学研究科修了(体育科学修士)、東京大学大学院総合文化研究科単位取得満期退学。ボディビルダーとして活動しつつトレーニングを指導。自身がプロデュースするジム「STUDIO BAZOOKA」、ボディケアスタジオ「ACTIVE RESET」を運営。
取材:飯塚さき 撮影:中島康介