田中碧 写真:Getty Images

 カタールW杯日本代表MF田中碧が、所属先の2.ブンデスリーガ(ドイツ2部)フォルトゥナ・デュッセルドルフで評価を落としている。同選手は今月4日のリーグ戦でカタールW杯後初めて出番なし。ダニエル・ティウーヌ監督から厳しい言葉をかけられているほか、ドイツ紙『ビルト』はデュッセルドルフが同選手の高額売却に失敗する可能性を危惧している。

 田中碧はスペイン戦で決勝ゴールをあげるなど、カタールW杯で活躍。日本国内での知名度を高める中、今年1月のリーグ戦再開以降も公式戦6試合つづけてスタメン出場。しかし低調なパフォーマンスが続くと、今月4日のSSVヤーン・レーゲンスブルク戦ではベンチ入りしたものの出番がなかった。

 ティウーヌ監督は試合後、同選手の現状について「彼に対して、もっと良いプレーができることや試合に出場できない理由を伝えている」とコメント。「彼にはもっと期待している。ワールドカップで活躍した選手だ。ドイツ2部リーグ戦でも良いプレーができるはずだ」と、さらなる成長を促している。

 そんな田中碧とデュッセルドルフの現行契約については、『ビルト』が今年1月に「契約期間は2025年6月だが、今季終了後以降から適用可能な500万ユーロ(約7億1200万円)の契約解除条項が盛り込まれている」とリポート。

 カタールW杯での活躍にくわえてデュッセルドルフの財政難もあり、今季終了後のステップアップ移籍の可能性が報じられていたが、先月以降調子を落としていることにより移籍実現が不透明だという。

 『ビルト』は田中碧の市場価値が250万ユーロ(約3億5000万円)であり、チーム内で最も市場価値の高い選手であることを紹介。

 その上で「デュッセルドルフはカタールW杯後、田中碧にオファーが届いて高額で放出することを期待していた。もしこの日本代表選手がベンチに座り続けるなら、どのクラブもオファーを提示しないだろう」

 「田中碧の放出で見込まれる数百万ドルは、デュッセルドルフが緊急に必要とするお金である。なぜなら、遅くと来季終了後までにはブンデスリーガへ昇格する見込みであるからだ。そのためにクラブ幹部は強力なメンバーを形成するための資金を必要としている」と、同選手売却のタイミングを逃す可能性を指摘した。

 なおデュッセルドルフはリーグ戦23試合を終えて12勝2分9敗。ブンデスリーガ自動昇格圏内の2位ハンブルガーSVから10ポイント差の5位につけている。クラブが昇格争いを繰り広げているだけに、田中碧にはいち早く本来のパフォーマンスを取り戻すことが求められる。