2018年第2四半期、スマホ出荷台数で中国のHuawei(華為技術)が初めてAppleを追い抜き、世界第2のスマホメーカーとなったことが、International Data Corporation(IDC)の調査から明らかになった。
首位はSamsung、4位Xiaomi、5位OPPOと、トップ5のうち4つをアジアのメーカーが占めた。
しかし投資対象としてこれら5社を比較すると、依然としてAppleの強さが目立つ。
前年比40%増を叩きだしたHuawei
深セン市に本社を置くHuaweiは1987年の設立以来、世界有数のICTソリューション・インフラとスマートデバイス・プロバイダーとして知名度を築いた。世界170カ国・地域で従業員18万人を抱える民間企業だ。
高度な技術と手頃な価格、スタイリッシュなデザイン、手厚いカスタマーサービスで瞬く間に消費者を魅了し、ついにAppleを上回る人気スマホメーカーの座に就いた。第2四半期は前年比40.9%増に値する5420万台のスマホを出荷。世界市場シェアは同社過去最高の15.8%を記録した。
2018年1月、米本格進出計画が合意に至らずといったマイナス要因が懸念されたが、「収益性の追求よりも量産拡大を目指すという戦略に素早く切り替えることでプラスに転じた」と、IT国際市場調査企業Canalys のアナリスト、モー・ジア氏は分析している(CNBC2018年8月1日付記事)。
出荷台数は減っても利益・売上高は増えたApple
Samsungに次ぐ第2のスマホメーカーの座から転落したAppleは、過去1年の出荷台数が前年比0.7%増と伸び悩み、4130万台で頭打ち。市場シェアは0.3ポイント減の12.1%だった。
しかし7月に発表された第3四半期決算では、利益・売上高ともに市場の予想を上回る結果が報告されている。高価格な「iPhone X」や 「App Store」「Apple Music」の販売が好調だったほか、「iCloud services」などのサービス事業が増収に貢献した。
第3四半期の「iPhone X」の販売台数自体は市場の予想を50万台下回ったものの、iPhoneの販売平均価格が724ドルであることを考慮すると増収も納得できる。同社のルカ・マエストリCFOがロイターに語ったところによると、Appleユーザーはより高価格なモデルを好み、平均999ドルで販売されている「iPhone X」が最も売れたという(ロイター2018年7月31日付記事)。
Samsungは出荷台数、市場シェア縮小
Samsungは7150万台を出荷し、20.9%の市場シェアを獲得。依然として2位以下に大きく差をつけているものの、出荷台数は前年同期比10.4%減、市場シェアは2.0ポイント縮小した。
北京の総合家電メーカーXiaomi(小米科技)は3190万台出荷、市場シェアは9.3%とまだまだ小規模だが、出荷台数はHuaweiを上回る前年同期比48.8%という驚異的な伸びをみせている。
広東省東莞市を拠点とする歩歩高(BBK)傘下のOPPOは前年同期比5.1%増で2940台出荷し、市場シェアは8.6%だった。既に日本上陸を果たしている (ブルームバーグ2018年1月26日付記事)。
2年前から中国No.1のOPPO将来的には欧米進出も?
トップ5中4つがアジアのスマホメーカーである点に驚かされるが、特に中国メーカーのスマホ市場における勢力拡大は今に始まったことではない。例えば国際市場5位のOPPOは2016年の時点で、本国ではAppleやXiaomiを上回る出荷台数を記録していた 。
同社の日本支部長デン・ユーチェン氏は日本市場進出発表当初、「5年以内に世界的な販売実績と一致する市場ポジションに到達したい」と野望を明らかにしていた。将来的には欧米市場への進出も望んでおり、「日本市場での成功がOPPOブランドの裏付けになる 」と語った。
バフェット氏が買い増しするApple株はやっぱり強い?
アジアのスマホメーカーはこのままの勢いを落とさず、世界のスマホ市場を制覇していくのだろうか?出荷台数や市場シェアでは既にそれが現実となっているが、投資となると話は別だ。専門家の間では、「新興スマホメーカー株は、Apple株やSamsungの比ではない」との見方が根強い。
Appleの第3四半期の業績を例に挙げると、売上高は533億ドル、1株あたりの利益は2.34ドル。 Thomson Reuters I/B/E/Sの予想を上回った。決済報告後、Appleの株価は 時間外取引で3.7%高の197.34ドルと過去最高値を付け、時価総額は9540億ドルに達した。その後、8月にはアメリカの企業で初めて時価総額1兆ドルを超えた。第4四半期の売上見通しも600億ドルから620億ドルへ引き上げられた。
前述したようにApple最大の強みのひとつは、高価格商品の販売力だ。D.A. Davidson & Co.のアナリスト、トーマス・フォルテ氏は、Appleのマネージメントが「iPhone X 」から学んだのは、「1000ドルを超えるスマホを売れば、販売台数が減っても利益が上がるということだ」と語った。
またAppleには「App Store」「Apple Music」「iCloud services」など、ドル箱事業が多数ある。日経中文網による 「2017年最も収益性の高い企業ランキング」でも、純利益4840億ドルで1位に輝いていた 。
堅実な長期的投資戦略を好むウォーレン・バフェット氏が2016年からApple株を買い増ししている点からも、Apple株に対する投資家の信頼感が伺える(CNN2018年5月4日付記事)。
新興スマホメーカーへの投資は慎重に?
一方、Huaweiの2017年度監査後業績は、グループ売上高が対前年比15.7%増の6036億人民元(約900億ドル)、純利益が28.1%増の475億元(約70億ドル)など堅調。成長中の企業であることは疑う余地がないものの、そこに至るまでの経過が謎に包まれており、一部の投資家の間で論争を呼んでいる。
2018年7月に香港取引所に上場したXiaomiは、取引開始後に株価が6%も下落。最終的には1.2%下落で初日の取引を終えるなど散々な結果となった。「低価格スマホに依存した経営戦略から抜けだし、インターネット企業としての最高峰を目指す」という野望が、投資家の目には不確実なものと映ったのだろう(ブルームバーグ2018年7月9日付記事)。
収益性だけが投資価値を決めるわけではないが、信頼性や将来性が株価に影響することは事実である。成長過程を見守りながら、慎重な投資を心掛けたいものだ。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
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