気の遠くなるような手仕事で表現される鳳凰と龍──。

東京・銀座の「ポーラ ミュージアム アネックス」を舞台に、彫刻家・西島雄志氏の初めての大型個展「瑞祥 zui-shou —時の連なり—」が4月28日(金)から6月4日(日)まで開催される。

ここ数年の苦境に沈む日本において、明るい未来の到来を予感させる展示会となる。

「吉祥 kichi-shou」2021年 銅線 NAKANOJO BIENNALE 2021

「吉祥 kichi-shou」2021年 銅線 NAKANOJO BIENNALE 2021

「時間」を織り込んだ西島雄志氏の作品

1969年に神奈川県で生まれた西島雄志氏は、東京芸術大学美術学部彫刻科卒業の後、同大学の大学院美術研究科彫刻専攻を修了する。

彫刻家として、鹿や象、八咫烏(やたがらす)など神話に縁の深い動物を題材に、立体作品やインスタレーションを国内外で発表。

ギャラリーだけでなく、二条城やホテル雅叙園東京といった歴史的空間でも作品を展示し、来場者に鮮烈な印象を残してきた。

その表現方法は独特だ。自らの手で渦状に巻いた銅線のパーツをひとつひとつ繋げるという、永遠にも感じられる作業の積み重ねでモチーフを形づくる。

作品は何千ものパーツから構成され、完成までの膨大な年月が織り込まれることで、「時間」という奥行きを内包する。

最低限にとどめられた輪郭は光を放ち、モチーフがまとう空気やたたずむ情景など、目に見えない「気配」への想像をかき立てる。

「真神 makami」2021年 銅線 2021年 NAKANOJO BIENNALE 2021

「真神 makami」2021年 銅線 2021年 NAKANOJO BIENNALE 2021

初の大型個展「瑞祥 zui-shou —時の連なり—」

同展示会では、新作のインスタレーションを含む3点の展示を予定する。タイトルにある瑞祥(ずいしょう)とは、めでたいことが起こる前兆、吉兆を意味する。

世界中がパンデミックに苦しむここ数年、西島氏が明るい兆しや希望をイメージする中でたどり着いた「神」というモチーフが、鳳凰と龍、ふたつの大作となった。

“「神」とは人が感じ取る「第六感」の別名”と西島氏は表現する。人の「存在」や「気配」といった、形のないものを視覚化しようと試みる同氏の作品は、壮大で神秘的ながらもリアリティをもって感情を揺さぶる。

「瑞雲 zui-un」2022年 銅線 BIWAKO BIENNALE 2022

「瑞雲 zui-un」2022年 銅線 BIWAKO BIENNALE 2022

銀座で過ごす濃密なアートの時間

会場となる「ポーラ ミュージアム アネックス」は、東京メトロの銀座一丁目駅・7番出口すぐで、銀座駅からも徒歩6分ほどだ。静寂に包まれながらも、迫力ある展示空間になるという。

なお、諸事情により内容が変更になる場合がある。ギャラリー公式サイトで最新の情報を確認のうえ来場してほしいという。

新しい季節を迎える銀座、吉兆を求めて出かけてみるのはいかがだろうか。

「瑞祥 zui-shou —時の連なり—」
会期:4月28日(金)~6月4日(日)
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
所在地:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
入場料:無料

(SAYA)

※会期中無休
※諸事情により内容が変更になる場合がある