ギャラリーで行われる展覧会では、作品に注目することはあっても、作者その人を知る機会はあまりないかもしれない。

「Narrative Platform」(以下、ナラプラ)上で、陶芸家・阿南維也(あなん・これや)氏のオンライン個展が3月12日(日)まで開催される。作り手の物語とともに作品を吟味できるプラットフォームへ、一度訪れてみてほしい。

陶芸家や作品とのインタラクティブを実現するナラプラ

ナラプラは、陶芸家のヒストリー、作品への想いや考え方、製造工程などの物語を通じて陶芸家や作品とのインタラクティブを実現するプラットフォームだ。

対話的な、双方向の、相互に作用する、といった意味をもつ「インタラクティブ」。よい陶磁器は見るだけ、手に取るだけで価値を感じられるが、陶芸家の物語を知ることでより理解が深まる。

これは美術品や歴史的建造物を、時代背景を把握した上で鑑賞することと同じだという。

静止画に加えて動画が多用されることも同プラットフォームの特徴だ。臨場感のある動画は、作り手をより身近に感じさせる。

販売後のアフターケアサポートも手厚い。メンテナンスに関する定期的な情報発信のほか、破損した際のリペア(金継ぎ)を有償で請け負う。

また、料理の盛り付け方や、器に合う料理のレシピ等のテクニカルサポートを発信する。シェフと提携し、料理に合わせた器ではなく、器に合わせた料理という新しい視点を提供。器の購入体験、使用体験を通じて、日常生活をより豊かにしたいという。

陶芸家・阿南維也氏の初オンライン個展

今回は、トップティアの陶芸家である阿南維也氏のオンライン個展を開催する。

鎬(しのぎ)の技術に定評がある阿南氏は、昔ながらの技法を守りつつも現代的に洗練された名品を生み出す大分県出身の陶芸家だ。

ナラプラの特徴である、「実際にギャラリーに訪れているかのようなライブ感」が存分に発揮される個展を実現。

ナラプラを運営する物語運輸社の五十嵐勇氏によるオープニング/エンディングスピーチや、金継ぎの歴史講話、阿南維也氏のQ&Aコーナー等、従来のECサイトとは一線を画すライブ感を楽しめる。

歴史講話を担うのは、東京を中心に金継ぎ教室・金継ぎ修理・金継ぎの書籍や映像監修などを行うグループ「金継ぎ暮らし」代表の萩原氏だ。

貴重な1点ものの限定販売も

個展開催中には「白磁鎬小鉢×金継ぎ特別仕様」のティアドロップを限定販売する。

1本ずつ手作業で削る鎬の模様入りの小鉢に、金継ぎ職人による一手間が加わった1点もの。時間とともに育てる逸品として、重厚な金漆とのコラボレーションを楽しめるという。

器を買うというありふれた体験が、物語によってより深く、よりドラマチックに演出される。お気に入りの品を探してみたい。

阿南維也氏オンライン個展
会期:2月26日(日)~3月12日(日)

(SAYA)