昨年暮れに10年前(2012年)の売れ筋ランキング(関連記事参照)を取り上げたところ思いのほか好評だったため、今回は同じく筆者が刊行する高級時計専門誌「パワーウオッチ」で20年前の2003年1月30日発売号で実施した「読者が欲しい腕時計ランキング」からロレックスのTOP10をお届けする。
まず、2003年はどのような年だったのか。世界情勢でいうとイラク戦争の開戦、SARS(重症急性呼吸器症候群)が大流行。加えて中国を筆頭に新興国の経済が大幅に拡大した年でもあった。それに伴い時計市場も拡大。右肩上がりに伸びていたちょうどその頃である。ロレックスからはサブマリーナー誕生50周年を記念した新作としてベゼルにグリーンを採用した通称グリーンサブことRef.16610LVがリリースされた。
為替は1ドル=120円前後、1スイスフラン=86円。対して現在は、ドルが135円、スイスフランはなんと141円。海外からの輸入品を取り巻く環境は為替で見てもまったく状況が違っていたことがわかる。
余談だが、毎年スイスで開催されていた高級時計の見本市「バーゼルワールド」の見学ツアーをパワーウオッチで企画。一般からの参加者も集まり実施する予定だったのだが、先に触れたSARSのために中止を余儀なくされた苦い思い出がある。ただ、この時の参加予定者の中に新婚旅行も兼ねて参加を決めていたカップルがいたため、その二人だけは単独で編集部のバーゼル取材に同行してもらったということもあった。

オメガのスピードマスター プロフェッショナル(手巻き、Ref.3570.50)
さて、そんな2003年の「読者が欲しい腕時計ランキング」は以下のとおりである。カッコ内の順位は他のブランドも含めた総合順位だ。驚くことにロレックスで見ると1位はエクスプローラーだが、総合で見ると2位。ロレックスを退けて当時1位に選ばれたのは何とオメガのスピードマスター プロフェッショナル(手巻き、Ref.3570.50)だった。
そしてさらに驚くのがスピードマスターの当時の価格だ。国内定価は25万円。それに対して並行輸入品の実勢価格は16万円だった。さすがに、このコストパフォーマンスの高さを考えると、この順位も「なるほど」と思ってしまう。それほど身近で手の届く存在だったということなのだろう。ちなみに、現在のスピードマスタープロフェッショナルの国内定価は93万5000円である。
【2003年読者が欲しいロレックスTOP 10 】

1位エクスプローラー Ref.114270
1位(2位)エクスプローラー Ref.114270当時の実勢価格40万円(定価43万8900円)
2位(3位)デイトナRef.116520当時の実勢価格110万円(定価80万8500円)
3位(5位)サブマリーナーデイトRef.16610当時の実勢価格38万円(定価51万2400円)
4位(6位)エクスプローラー II Ref.16570当時の実勢価格40万円(定価50万1900円)
5位(7位)デイトジャストRef.16234当時の実勢価格34万円(定価51万2400円)
6位(10位)GMTマスター II Ref.16710当時の実勢価格30万円(57万7500円)
7位(11位)ヨットマスターロレジウムRef.16622 当時の実勢価格68万円(定価89万2500円)
8位(16位)エアキングRef.14000M当時の実勢価格27万円(定価36万2250円)
9位(17位)サブマリーナーRef.14060M当時の実勢価格30万円(定価43万500円)
10位(20位)サブマリーナーデイトRef.16613当時の実勢価格50万円(定価79万8000円)
当時ロレックスの一番人気はエクスプローラーだった。1998年に大ヒットを飛ばした木村拓哉主演のドラマで、エクスプローラー(Ref.14270)を彼が着けたことから人気に火が付き、それが2000年代前半まで続いていたためだ。03年でこそ定価を下回っているが、2000年ごろまではプレミアム価格だったと思う。
もうひとつ、注目すべきはGMTマスター II である。定番のステンレスモデルにはベゼルの配色が、黒1色、黒赤と青赤の2種類のツートンの合計3種だった。いまでは青赤の通称ペプシはダントツの人気を誇るが、当時は青赤の色味が「派手」という理由から黒1色が好まれていたのである。
しかも、GMTマスター II 自体の人気もイマイチだった。そのため、定価57万7500円に対して実勢価格は30万円と、格差が最も大きい。それだけ需要が少なかったということになる。いまでは考えられないが、当時はとてもお買い得なモデルだったということだ。
提供元・Watch LIFE NEWS
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