平和祈念展示資料館は3月7日から、子どもや親子向け春休み企画「シベリア抑留ものがたりアニメとマンガでたどる戦争」を開催する。
第二次世界大戦における兵士、戦後強制抑留(いわゆるシベリア抑留)、海外からの引揚げに関する資料を展示する平和祈念展示資料館(所在地:東京都新宿区西新宿)は、2023年3月7日(火)~4月2日(日)まで、子どもや親子連れをメインターゲットとする春休み企画として、分かりやすいアニメとマンガで戦争体験をたどる「シベリア抑留ものがたりアニメとマンガでたどる戦争」を開催します。 休館日は毎週月曜日、入館料は無料です。
《春休み企画の概要》
春休み企画は、兵士として戦場に出征した後にシベリア抑留を体験し、帰国後に漫画家となった斎藤邦雄さん(さいとう・くにお、1920~2013年)の遺志を継いだアニメ作品『シベリア抑留ものがたり』の完成を記念して、同作品を館内のビデオシアターで上映するとともに、常設展示室では斎藤さんが描いたマンガ約20点をパネル展示します。
暗さが最も増した時代に、戦争の体験者がどのように「生きる希望」を見つけだそうとしたのか、来館者に考えていただけるような展示をめざします。
《シベリア抑留と斎藤邦雄さんのマンガ》
ナチス・ドイツとの戦争で国が荒れはてたソ連は、国を復興させる労働力とするため、ドイツや日本の兵士たちをシベリア送りにして働かせました。凍てつく寒さ、食料の不足、病気のため、約5万5千人の日本人抑留者が亡くなりました。これを、戦後強制抑留、いわゆるシベリア抑留といいます。
斎藤さんは、兵士として中国で約5 年間の軍隊生活を送った後、終戦後にシベリアで約3 年間の抑留生活を強いられました。帰国後はマンガ家となり、コトバだけでは伝えにくい戦争を、わかりやすくまとめたマンガを残しました。極限の世界を生きた斎藤さんのマンガは、兵士と抑留をへて家に帰るまで約8年の軌跡をたどりながら、戦争に引きさかれた兵士と家族の哀しみ、戦争に負けてにげまどいながら日本をめざした引揚者、抑留中に飢えと闘う中で命をつないだ黒パン、ウクライナからシベリアに送られたニーナさんとの交流、再会を願う家族や亡くなった仲間への想いなどを、ユーモラスな一枚の絵として描いています。
■企画1:アニメ作品『シベリア抑留ものがたり』(約20分)の上映
生前、斎藤さんはこう語っていました。
「戦争の体験を子どもに伝えられる紙芝居のようなものを作りたかった…」
2023年3月、この想いを受けとめた『シベリア抑留ものがたり』が完成しました。これは、兵士として戦場に出征し、終戦後にシベリアに抑留され、家に帰るまでの8年間を描いたマンガに、ナレーションやテロップ、音楽などを加えた、紙芝居のような約20分のアニメ作品です。
本企画では、期間中の各日、10:00、11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00に、1日7回、館内のビデオシアターで上映します。
アニメ作品『シベリア抑留ものがたり』のタイトルカット
アニメ作品『シベリア抑留ものがたり』から抜粋したカット「吐く息も凍る」
アニメ作品『シベリア抑留ものがたり』から抜粋したカット「ウクライナ娘ニーナ 凍土に吹いた一陣の春風」
■企画2:特別展示マンガでみる兵士・抑留者・引揚者
常設展示室の各所で、斎藤さんが描いたマンガ約20点をパネル展示します。
斎藤さんは、戦争を知らない子どもたちに向けて、兵士、戦後強制抑留者(シベリア抑留者)、海外からの引揚者の体験を、一枚の絵にまとめたマンガを数多く残しました。コトバだけでは伝わりにくい戦争の体験を、マンガを通して想像しやすくなるでしょう。
兵士のコーナーに展示する「戦地へ立つ日」斉藤邦雄 画(平和祈念展示資料館 所蔵)
戦後強制抑留のコーナーに展示する「美しかった星空」斉藤邦雄 画(平和祈念展示資料館 所蔵)
海外からの引揚げのコーナーに展示する「奥地から避難する婦女子」斉藤邦雄 画(平和祈念展示資料館 所蔵)
《斎藤邦雄(さいとう・くにお)氏 略歴》
◯1920年、群馬県藤岡市生まれ。
◯兵士として出征し、中国で約5年間の軍隊生活を送る。
・1941年3月、東宝美術部の在職中に召集により、高崎東部38部隊第1機関銃中隊に入隊する。
・1945年6月、部隊は満州(今の中国東北部)へ移動し、関東軍の指揮下に入る。
・同年8月、満州で終戦を迎える。
◯シベリアで約3年の抑留生活を送る。
・1945年10月、シベリアに抑留される。イルクーツク地区の収容所(ラーゲリ)を転々とする。
・1948年7月、日本に復員する。
◯8年間の戦争体験を経て、マンガ家として活躍する。
・東宝を退社してフリーとなり、プロ漫画家集団の「東京児童漫画会」に所属し、各児童雑誌に執筆する。
・1965年、フジテレビ・エンタプライズに入社、TVアニメの制作を担当する。
・2013年、逝去。
◯代表作は『シベリヤ抑留兵よもやま物語』(光人社、2006年)、『あゝ涙の兵隊物語』(光人社、1993年)など。
【春休み企画開催概要】
催事名称
平和祈念展示資料館 春休み企画「シベリア抑留物語 アニメとマンガでたどる戦争」
期間
2023年3月7日(火)~4月2日(日)
時間
9:30~17:30(最終入場:17:00)
場所
平和祈念展示資料館 常設展示室、ビデオシアター
所在地
〒163-0233東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル33階
休館日
毎週月曜日
入館料
無料
内容
■アニメ 『シベリア抑留ものがたり』の上映
シベリア抑留者の漫画家・故 斎藤邦雄さんの遺志を継いで平和祈念展示資料館が企画し、本年3月に完成したアニメ作品『シベリア抑留ものがたり』(約20分)を、1日7回、ビデオシアターで上映。
併せて、斎藤さんが生前に戦争体験を語った証言映像(約20分)も同時上映。
《上映開始時間》
期間中の各日7回:10:00、11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00
【作品概要】
原案:斎藤邦雄
企画:平和祈念展示資料館
■特別展示「マンガでみる兵士・抑留者・引揚者」
常設展示室の「兵士」、「戦後強制抑留(シベリア抑留)」、「海外からの引揚げ」の各コーナーに、斎藤さんが描いたマンガ約20点をパネルと絵画で展示。
主催
平和祈念展示資料館
一般の方からのお問い合わせ先
平和祈念展示資料館
TEL:03-5323-8709
※参考:「平和祈念展示資料館」 施設概要
施設名
平和祈念展示資料館
英文表記
Memorial Museum for Soldiers, Detainees in Siberia, and Postwar Repatriates
開館日
2000(平成12)年11月30日
施設内容
兵士、戦後強制抑留者、海外からの引揚者に関する資料を展示
所在地
〒163-0233 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル33階
TEL:03-5323-8709 FAX:03-5323-8714
アクセス
・都営大江戸線 「都庁前」駅 A6出口から徒歩 約1分
・東京メトロ丸の内線 「西新宿」駅から徒歩 約5分
・JR、小田急線、京王線 「新宿」駅西口から徒歩 約10分
開館時間
9:30~17:30(最終入館17:00)
休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始、
新宿住友ビル全館休館日
入館料
無料
展示面積
約460平方メートル
施設構成
常設展示室(兵士コーナー、戦後強制抑留コーナー、海外からの引揚げコーナー)
企画展示コーナー、体験コーナー、情報メディアコーナー、図書閲覧コーナー、
ビデオシアター
所蔵資料数
所蔵資料数:約23,000点、所蔵図書数:約14,000点
常設展示資料数:約400点(グラフィックやジオラマ含む)、
開架図書数:約2,000点
館長
立正大学名誉教授・増田 弘(ますだ・ひろし)
入館者数
約94万8,000人(2000年11月30日~2023年1月31日現在)
提供元・観光経済新聞
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