AI翻訳で日本語の壁が消えるとどうなる?
しかし、仮にAI翻訳がさらなる進化を遂げることで、一部の通訳翻訳業務を代替する領域が広がったらどうなるだろうか?
その場合、企業はより安価で技術力のある人材を求めて外国人にオファーを出すことになる。日本にやってきて働いてもらうのはビザの関係もあるので相変わらず簡単ではないが、数は増えるだろうしオンラインで調達すればこの問題も解消するだろう。日本人より人件費が安いインドの技術者に白羽の矢が立つのではないだろうか。インドは人件費が日本の20分の1程度で、エンジニア職などの技術者も同様である。
ただでさえ、労働者不足でどの企業でも人材の奪い合いが起こっている昨今、企業がAI翻訳の力に気づいて外国人にオファーを出すようになれば、企業側は根本から働き方が変わる。仮に日本政府が外国人への就労ビザの緩和をして、外国人が我が国へ働きに来れば彼らの多様性をも取り入れることになるだろう。
そして日本人のライバルは同じ日本人だけではなくなる。人件費が安い外国人に勝つためには、自分も低コストで働くか彼らができない高度専門技術を持つしかなくなる。長期的、大局的視野で見れば高度専門技術を追求する人を生み出すトレンドになるかもしれないが、その一方で物価は高いのに労働報酬を安く甘んじる結果になりかねない。生き残るために、付加価値を高める必要性が生まれる可能性は否定出来ないだろう。
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ChatGPTをはじめ、昨今のAIの進化は目を見張るものがある。単なるトレンドではなく、働き方や人生設計そのものを根本から見直すきっかけになり得ると思っている。AIを過剰に恐れる必要はないが、正しく恐れ、自らの身の振り方を考え直す必要はあるのではないだろうか。
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