次に以前にも申し上げましたが、金利は一定水準を下回ると緩和効果が経済全体には出にくくなるとされます。概ね1%あたりがその変化点だとされます。ということは1%を下回った部分はぬるま湯ということになります。ぬるま湯を普通の湯にするとどうなるか、と言えばゾンビが暴れ、国民から強いバッシングが出るでしょう。しかし、それは黒田氏が飴玉を与え続け金利に対する耐性が弛緩しきっているともいえるのです。
とすれば黒田氏からバトンを継ぐ植田氏は嫌な役を引き受けるということです。雨宮氏が総裁のポジションを固辞したのは黒田氏の懐刀で実務派とされた人がその逆をするのは難しいと自分で考えたからでしょう。黒田氏のやり方を踏襲できるなら雨宮氏が嫌がる理由はなかったわけでそれが許されないから雨宮氏の総裁のポジションは無くなったということなのでしょう。
では日銀の定義で言う2%の安定したインフレはやってくるのか、ですが、私はあり得ると思います。日本人は過去30年以上、値上がりという言葉を忘れていたのです。いや若い方は知らなかったとも言えます。が、この1年、モノの価格は上がり、国民は確実に物価が上がったことを実感しました。その上で春闘は相当良好な結果になると予想されています。トヨタやホンダは早々に満額回答で、これが思った以上に中小企業にも伝播していく感じです。物価高で従業員からの賃上げ要求が高まり、企業は販売価格を引き上げやすい環境にあるので給与も上げられるという前向きの環境が整ってきたとみています。
日本の特徴はずっと我慢していたものがあるきっかけに「我先に」と一斉に同じ方向に飛び出す点です。それが今年の半ばに向け一斉に開花するだろうとみています。私はむしろ、日銀の金融政策が後手になりやしないかという心配すらしています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月27日の記事より転載させていただきました。