Q9.社会保障は社会の助け合いなので、個人の損得はしょうがないのでは?
それが厚生労働省の年金マンガの主張です。政府も世代間格差があることは認めていますが、それしか方法がないといっているのです。

年金マンガ(厚労省)
でも社会保障の目的が最低限度の生活を保障するセーフティネットだとすると、65歳以上になったら一律に年金をはらう制度はおかしいですね。大金持ちのお年寄りもいれば貧しい若者もいるので、年金制度は不公平です。
Q10. ではどうすればいいんでしょうか?国民負担の問題は社会保障の問題といってもいいので、負担を減らすにはお年寄りに片寄った給付を是正する必要があります。一時的に国債で赤字を埋めても、金利や物価が上がったら止めないといけません。国債は持続的な財源にはならないのです。
そのしくみとしては、日本維新の会が提案しているベーシックインカムが理想ですが、これには100兆円近い財源が必要です。もう少し政治的に実現できそうな案としては、河野太郎さんが自民党総裁選挙で提案した最低保障年金もありますが、これでは世代間格差がのこります。
130兆円もある社会保障のゆがみを是正するのは大変です。1%ちがうと1兆円以上の損得が出るので、たくさんの圧力団体が政治家に陳情します。その話をいちいち聞いていると支出はふえ、国民負担もふえる一方です。岸田首相はお得意の「聞く力」を封印して、国民負担の増加に歯止めをかけてほしいものです。
おまけ:江戸時代の五公五民というのは建て前で、末期の年貢の実効税率は5%ぐらいだったようです。今よりましですね。