米国のバイデン大統領は去る2月7日に、上下両院合同会議で2023年の一般教書演説(State of the Union Address)を行った。この演説は、年初にあたり米国の現状について大統領自身の見解を述べ、主要な政治課題や方針について説明するという重要なもので、その内容は日本でも主要新聞が全文の翻訳を掲載して詳しく紹介されている。

一般教書演説をするバイデン大統領ホワイトハウスSNSより

日本経済新聞が2月9日の朝刊に掲載した演説の全訳によると、大統領はロシアによるウクライナ侵攻が引き起こしたにエネルギー価格高騰により、空前の利益をあげている大手石油会社について、

石油大手が記録的な利益を計上したことに気付いているだろうか。世界的なエネルギー危機において昨年は2千億ドルを稼ぎ出した。とんでもないことだ。過去最高の利益を自社株買いに使い、最高経営責任者(CEO)や株主に報酬を与えている。私は企業の自社株買いにかかる税金を4倍にし、代わりに長期投資を奨励することを提案する。

と発言したということになっている。

ところがよく調べてみると、大統領本人が実際に議会で行った演説の内容は、上記とはいささか異なっている上に、それが米国内で物議をかもしているというのである。

上記の発言録は、事前にホワイトハウスからメディア各社に配られたスピーチ原稿を翻訳したものであろうが、実際に大統領が行ったスピーチでは、原稿とは異なるフレーズが加えられ、あるいは大統領自身によるその場の即興の言葉がつけ加えられている。