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報道にもあったが、核融合開発のロードマップが前倒しされたことは喜ばしい。
だが残念ながら、いま一つ腰が引けている。政府による原型炉建設へのコミットメントが足りない。
核融合開発は、いま「実験炉」段階にあり、今後2兆円をかけて「原型炉」を建設して発電実証を行えば、その後は実用化できる。無尽蔵のクリーンエネルギーが既存の火力や原子力発電と遜色ないコストで手に入る。
では政府の検討状況はどうか。2月1日の文科省核融合科学技術委員会の配布資料4には、以下の記述がある。
原型炉開発総合戦略タスクフォースにおける技術的な検討の結果及びアクションプランの更新案については、核融合科学技術委員会で受け入れるものとする。 一方、「核融合発電の実施時期の変更」については、現在、ITER のベースラインの見直しが行われており、ベースラインの検討状況等を総合的に勘案した上で判断する必要があることから、決定を保留する。 これを受け、アクションプラン更新案のうち、第2回中間チェック・アンド・レビュー(2025年頃)以降の活動については、同レビューを経て改めて検討するものとする。
ここで、「アクションプランの更新案」とは、核融合開発のロードマップの前倒しのことであり原型炉建設がその中心となる。「ITERのベースライン」とは、国際共同の実験炉ITER建設の進捗状況のことである。そして2025年頃にITERの進捗をチェックして原型炉に着手する、となっている。