長く感じられる寒い冬の後、春の訪れを感じると一気に気持ちが明るくなりますよね。お出かけ日和の日も増えてくる時期だけに、全国各地でさまざまなお祭りが開催されます。
今年こそは、伝統ある春祭りや桜まつり、ひな祭り関連のイベントに出かけて、春の訪れを楽しくお祝いしてはいかがでしょうか。
春の祭りにはどんなものがある?
春の祭りにはどのようなものがあるのでしょうか。
ひと言で「春の祭り」といっても、飛騨高山の「春の高山祭」や京都の「葵祭」のような神社の伝統ある例祭に加え、桜を楽しむための「桜まつり」、ひな祭りのような年中行事に関連したイベントなど種類はさまざま。
「歴史や伝統にふれる」「花を愛でる」など、祭りによって目的が異なりますし、規模や知名度もさまざまです。「1度は日本三大祭りに参加してみたい」「桜の名所で絶景を見たい」など、目的に合わせて選ぶといいでしょう。
ようやく寒い冬が明けて、あたたかな日差しが降り注ぐ春はそれだけで気分が明るくなりますが、お祭りに参加することで春の訪れをより強く感じることができるはずです。お祭りやイベントと合わせて、お花見や街歩きが楽しめるのも、気候の良い春ならではの魅力ではないでしょうか。
神社での有名な春祭り
全国で開催されるさまざまな春のお祭りのうち、まずは歴史と伝統を誇る神社の有名な例祭をご紹介しましょう。
あらゆる生命が生き生きと輝き出す春、立春(りっしゅん:2月4日)から立夏(りっか:5月5日)までのあいだ、多くの神社で春祭りが開かれます。神社の春祭りには、「その年の農耕の始まりを神さまに報告し、神さまの加護のもとで豊作を願う」という意味合いがあります。
きっと、1度は名前を聞いたことがあるお祭りや、1度は行ってみたいお祭りが見つかるはずです。
神田祭(東京都)
京都の祇園祭、大阪の天神祭とともに「日本三大祭り」のひとつに数えられるのが、東京千代田区の神田明神で開催される「神田祭」。山王祭、深川八幡祭(ふかがわはちまんまつり)と並ぶ「江戸三大祭り」のひとつにもなっています。
その昔、ほかの武将との戦の前に、必ず家来に神田明神で戦勝を祈願させていたという徳川家康は、天下統一後、神田明神に感謝して立派な社殿や神輿を寄進しました。家康の支援により、神田明神の祭礼も盛大なものになっていったことから、神田祭は「天下祭」とも呼ばれています。
5月中旬に開催される神田祭は、2年に1度の偶数年に盛大な「本祭(ほんまつり)」が、奇数年には「蔭祭(かげまつり)」が行われます。
なかでも一番の盛り上がりを見せるのが、本祭の年に行われる、神田明神の周辺地域を守る神々が3つの神輿に乗って町を祓い清める「神幸祭(しんこうさい)」と、100基の神輿が神田明神に向かう勇壮な「神輿宮入(みこしみやいり)」。脈々と受け継がれてきた江戸情緒を肌で感じられること請け合いです。
- 開催場所:東京都千代田区外神田2-16-2神田明神(および周辺地域)
- 2023年の開催予定日:5月11日~14日および16日・17日(13日:神幸祭、14日:神輿宮入、17日:例大祭)
くらやみ祭(東京都)
「くらやみ祭」は、東京都府中市にある大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)最大の例大祭。かつて、街の明かりを消した深夜の暗闇の中で神輿渡御が(みこしとぎょ)行われていたことがその名の由来で、東京都の無形民俗文化財に指定されています。
4月30日の「品川海上禊祓(みそぎはらい)式」から5月6日の「神輿還御(みこしかんぎょ)」までの7日間にさまざまな神事が行われますが、ハイライトは6張りの大太鼓が打ち鳴らされる中、提灯の灯りに導かれ、8基の神輿が「オイサ、オイサ」のかけ声とともに神社本殿から御旅所(旧甲州街道と府中街道の交差点)まで渡御される「神輿渡御」。
担ぎ手がまとった白丁(はくちょう)と提灯の明かりとのコントラストが力強くも幻想的です。
- 開催場所:東京都府中市宮町3-1 大國魂神社(および周辺地域)
- 2023年の開催予定日:4月30日~5月6日(5日:神輿渡御)
春の高山祭(岐阜県)
飛騨高山に春の訪れを告げる日枝神社の例祭が「春の高山祭(山王祭)」。高山祭は京都の祇園祭、埼玉の秩父夜祭と並ぶ「日本三大美祭」のひとつで、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
毎年4月14日と15日に、「祭屋台(まつりやたい)」と呼ばれる12台の山車(だし)が登場。そのうち3台の屋台が、全国的にも珍しいからくり奉納を披露します。
祭りの行列にあたる「御巡幸(ごじゅんこう)」では、伝統衣装に身を包んだ数百名の大行列が、お囃子(はやし)や雅楽とともに高山の町を練り歩く、時代劇さながらの光景が見られます。
- 開催場所:岐阜県高山市城山156 日枝神社(および周辺地域)
- 2023年の開催予定日:4月14日・15日
葵祭(京都府)
日本で最も有名な春のお祭りのひとつが、約1,500年の歴史を持つといわれる、京都の「葵祭」。賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の例祭で、「京都三大祭」のひとつにも数えられています。
葵祭の見どころは、平安装束を身にまとった人々が約8kmの距離を練り歩く「路頭の儀」。近衛使(このえづかい)、検非違使(けびいし)、内蔵使(くらづかい)、山城使(やましろつかい)をはじめ、馬36頭、牛4頭を含む500人あまりの大行列が展開する平安絵巻さながらの光景は圧巻です。
約2週間にわたってさまざまな神事が展開される葵祭では、「路頭の儀」のほかにも、「馬足汰式(くらべうまあしぞろえしき)」「流鏑馬(やぶさめ)神事」「斎王代女人列御禊神事(さいおうだいにょにんれつみそぎのしんじ)」など、「前儀」と呼ばれるさまざまな神事が両神社で行われます。
- 開催場所:賀茂御祖神社(下鴨神社)・賀茂別雷神社(上賀茂神社)および周辺地域
- 2023年の開催予定日:5月3日~5日、および12日・13日(流鏑馬神事:3日、斎王代女人列御禊神事:4日、路頭の儀:15日)※悪天候の場合「路頭の儀」は翌16日に順延