外国人顧客のCRMで、インバウンド増加に備える

好調の伊勢丹新宿本店 固定客拡大で見えてきた過去最高売上更新、3000億円突破のスゴイ戦略
(画像=伊勢丹新宿本店長の栗原憲二氏,『DCSオンライン』より 引用)

――MD改革の結果、どのような成果が現れているのでしょうか。

栗原 2022年度上期のMIカード新規会員数は、前期比で約2.6倍に増えました。当店における識別会員の売上構成比は、2018年では約50%でしたが、22年度上期では約68%まで上昇しました。またゴールド会員・プラチナ会員のお客さまを中心に高額商品がよく売れ、中でも年間1000万円以上お買い上げのお客さまでは、売上が前期比で約50%も増加しました。実は、中期経営計画では、識別会員の売上構成比について「70%達成」を目標にしていたのですが、22年度中にクリアできそうなので、目標を上方修正しようと考えています。

――今後の見通しや抱負についても、お聞かせください。

栗原 円安や株価低迷といった逆風はあるものの、新型コロナウイルスの感染が沈静化してくれば、国内の富裕層は、再び海外旅行に頻繁に出かけるようになるでしょうから、今までのような高額商品の「巣ごもり需要」は期待できないでしょう。しかし一方で、海外からの旅行客受け入れの制限緩和も進み、インバウンドのお客さまが再び増えることも大いに期待できます。実際に、22年11月は、18年11月よりもインバウンドの売上が多かった。そこで、免税カウンターを増設するなど、インバウンド向けのサービス機能を拡充し、「外国人顧客のCRM」も強化する方針です。伊勢丹新宿本店としては、旧伊勢丹時代の過去最高水準に並ぶ年間売上高3000億円を早期に突破することを、今後の目標に掲げています。

提供元・DCSオンライン

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