「最初の鶏卵」から見れば、ニワトリが先?

現生するニワトリ(学名:Gallus gallus domesticus)の祖先種は、今から約5000万年前にセキショクヤケイ(学名:Gallus gallus)の亜種から進化したと言われています。

それから昨年の研究(PNAS, 2022)では、東南アジアに住んでいた人類がBC1650〜BC1250年のどこかで初めてこの祖先種を家畜化したことで、現在のニワトリが進化したと指摘されました。

遺伝学の観点からすると、その最初のニワトリは、まだニワトリとは呼べない親種のDNAの組み合わせや突然変異によって誕生したと考えられます。

よって、親種の産んだ卵から孵り、成長して大人になった鳥が「最初のニワトリ」であり、その鳥が産んだ卵こそ「最初のニワトリの卵」なのですから、この場合の答えは「ニワトリが先」となるのです。

鶏卵はやはりニワトリからしか生まれ得ない
Credit: ja.wikipedia

また2010年に発表された英ウォーリック大学(UoW)の生化学研究が「ニワトリが先」説を後押しすることになりました。

研究チームは、鶏卵の殻と雌鶏の卵巣の両方に含まれるタンパク質「ovocledidin-17」に、ニワトリの体内で卵の殻の形成を促す働きがあることを発見。

卵巣の中にこのタンパク質が存在しなければ、鶏卵はできないことを突き止めました。

つまり、ニワトリが先にいなければ「ニワトリの卵」はできません。

このように、問いの中の卵を「鳥類を産むための卵」と見るか、「最初のニワトリが産んだ卵」と見るかで、答えへのアプローチも変わってきます。

おそらくこの問題の卵については「最初のニワトリが産んだ卵」と捉える人の方が多いと思いますが、生物学者のこの答えに納得できたでしょうか。

参考文献
Which came first: the chicken or the egg?
Researchers apply computing power to crack egg shell problem