「あの海、今はどんな感じかなぁ…」、「海外でのダイビング、どこに行こうかなぁ…」と考えているダイバーの皆さまへ、世界各国のガイドたちが今シーズンの現地の海情報を提供!

本連載記事は、現在皆さまに好評をいただいている国内のガイドたちが薦める海紹介連載シリーズ「【連載】ダイバー必見!全国各地のガイドたちが薦める海はここだ!」の海外版!海外渡航を考えている皆さまに、最新の現地情報をお届け!

今回は、パラオ コロールにダイビングショップを構える、「デイドリームパラオ」の代表・秋野大氏(以下、秋野氏)にお話を伺った。

編集部

今の現地の様子はいかがでしょうか?

秋野氏

まだまだ入島者は少なく、パラオ政府観光局の2022年11月のレポートだと対2019年比で20%程度の人数です。日本人観光客(ダイバー含む)に関しては5%程度の数字で、客足が戻ってきているという実感は、まだありません。ですが街中ではもうマスクをしている人はおらず、日常生活はコロナ前の様子に戻っています。

編集部

受け入れ側は準備できている、という感じでしょうか。観光客が戻ってくるのが待ち遠しいですね。

秋野氏

そうですね。観光客の数はまだ少ないですが、生き残っているホテルやレストランはほぼ通常営業に戻っています。 ただ、どのホテルも従業員をものすごく減らしているので、ピークであってもフル稼働はできないようです。年末ピーク時の予約を考えている方は、早めの手配が必要そうです。

編集部

予約が集中する時期を避けて行くのが良さそうですね。 海についても教えてください!今の時期、特におすすめのエリア・ポイントはどこでしょうか?

秋野氏

パラオは乾季に入り風向きが東になりました。「ブルーコーナー」や「ブルーホール」など、有名なダイブサイトが集まっている西側エリアは島影となり、風の直撃がないので良いコンディションになっています。

編集部

パラオで抑えておきたいポイントに高確率で行ける時期なのですね!見られる魚はどうでしょうか。

秋野氏

ツノダシの群れ、新月はカンムリブダイ、満月はバラフエダイといったように、 “群れもの” “産卵もの” のネタも多く、飽きさせません。スペシャルなネタでなくても、定番の光り物であるバラクーダやギンガメアジの群れもダイバーが少ないためか群れが大きくなっているように思います。これから春になるとイレズミフエダイの産卵のシーズンもあり、話題に事欠きません。

【パラオ・コロール】ダイバー必見!2023年、世界各国のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.1
(画像=圧巻のツノダシの群れ、『オーシャナ』より 引用)
【パラオ・コロール】ダイバー必見!2023年、世界各国のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.1
(画像=パラオの3大集団産卵シーンのひとつとも言われる「カンムリブダイの集団産卵」、『オーシャナ』より 引用)
【パラオ・コロール】ダイバー必見!2023年、世界各国のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.1
(画像=迫力のあるバラクーダの群れはパラオの鉄板シーン,『オーシャナ』より 引用)
【パラオ・コロール】ダイバー必見!2023年、世界各国のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.1
(画像=青い海に鮮やかな赤が映えるアカマツカサ,『オーシャナ』より 引用)

やはりパラオの海はすごいですね…。

秋野氏

ただ、ラニーニャ現象※のせいで台風がパラオ近くを通らなかったために海水が混ざらなかったのでしょうか、イソギンチャクの白化が目立ちます。水温は高くない(28~29度)のですが、イソギンチャクだけ白化しています。サンゴの白化は多くなく、なぜイソギンチャクだけなのか興味深いところです。しかし溶けるようなダメージまでは進んでいないので、このまま持ちこたえてくれることを期待しています。

※ラニーニャ現象:太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象である「エルニーニョ現象」の反対で、東太平洋赤道付近ので海面水温が平年より低い状態が長期間続く現象は「ラニーニャ現象」と呼ばれている。

編集部

回復してくれることを祈るばかりです。

【パラオ・コロール】ダイバー必見!2023年、世界各国のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.1
(画像=『オーシャナ』より 引用)

秋野氏

一方で、特筆すべきは「ブルーコーナー」などの超混雑ダイブサイトに、トゲトサカなどのソフトコーラルがものすごく増えたことです。水底が華やかになり、今までとは違う風景が見られます。今はまだダイバーが少ないのでフィンなどでダメージを与えるケースも少ないですが、今後、ダイバー数が増えてくるとまたなくなってしまうのかな~と考えると、人が多く戻ってくるのも善し悪しだなと思いました。ガイドとして、水底にいる生物へのインパクトを少なくするようなガイディングを心掛けたいと思っています。

編集部

ダイバーが海に与える影響を改めて実感しますね。なんとしても、ソフトコーラルなどのサンゴを破壊しないようにしたいです。

秋野氏

そうですね。加えて「ブルーコーナ」ーがあるゲメリス島周辺のエリアはもともと光り物が多い“大物狙いドリフト”ダイブサイトで有名ですが、群れの大きさ、魚の数ともに増加傾向にあるようです。コロナを経てダイバーから受けるストレスも減ったのか、人間を見てもあまり逃げなくなったように思います。そのためプローチしても寄りやすく、逃げにくいため、観察も撮影も楽しく簡単になった印象です。まだ確立はされていませんが、新しいマンタのステーションになりそうな場所もあったり、今年はマダラトビエイが多く、楽しませてくれる魚たちがたくさんいます。

編集部

持続可能な海を保ちながら、ダイビングを楽しみたいですね。ちなみに、まだ観光客数は少ないとのことだったのですが、その中でも来られているのはどういったお客様でしょうか?

秋野氏

私たちのお店に関して言うと、コロールの日帰りダイブトリップはまだ大きくは稼働しておらず、動いているのは、ほぼダイブクルーズの「龍馬」のみです。そのため、いらっしゃって下さっているのは、圧倒的にヘビーリピーターのお客様です。“どうしてもパラオに行きたい” と言う人しか、まだ動かないのだろうと思います。ですが、そんな中でも新規のお客様は少数ですがいらっしゃっていて、「ヘビーリピーター」と「まったくの新規」と両極端な状況となっています。

【パラオ・コロール】ダイバー必見!2023年、世界各国のガイドたちが薦める海はここだ! 連載No.1
(画像=贅沢な船内とこだわりの食事が目玉のクルーズ船「龍馬」,『オーシャナ』より 引用)

最後に日本のダイバーに向けて、メッセージをいただきたいです!

秋野氏

最近は円高もかなり緩和されてきました。極寒の日本を離れて、ぜひ真夏のパラオに潜りにいらしてください。お待ちしております!

編集部

秋野さん、ありがとうございました。

提供元・oceanα

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