「人間と動物との共存と平和」を訴えるポスター作品120点を展示した企画展が、東京・銀座の「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」にて開かれている。

企画展「動物会議 緊急大集合!」は、3月25日(土)まで開催。ドイツの詩人・作家であるエーリッヒ・ケストナーの絵本『動物会議』からインスピレーションを得たものだ。

写真:藤塚光政

写真:藤塚光政

戦争や環境破壊へのメッセージを含んだ絵本『動物会議』

ドイツの詩人・作家であるエーリッヒ・ケストナーによって絵本『動物会議』が書かれ、出版されたのが1949年のこと。

『動物会議』は、「子どもたちのために、戦争のない世界をつくろう!」と、怒りと正義によって、世界中の動物たちが立ち上がるという物語だ。

それから70年以上が経つ2023年現在も、ロシアによるウクライナ侵攻、止まらない地球温暖化など、人間たちは戦争や環境破壊を繰り返している。

写真:藤塚光政

写真:藤塚光政

ケストナーは、愚かな人間に対する動物たちからの痛烈な社会批評を通じ、動物たちのほうがはるかに良識や実行力があるということを伝えようとしていた。

数多くのアーティストが「人間と動物との共存と平和」を表現

企画展「動物会議 緊急大集合!」では、「DNPグラフィックデザイン・アーカイブ」*の中からセレクトした、「人間と動物との共存と平和」というケストナーの想いを体現しているポスター作品120点あまりを展示。

写真:藤塚光政

写真:藤塚光政

これらは、日本のグラフィックデザイナー、アートディレクター、アーティストたちが、「動物」を主役や脇役にして、生命、環境、戦争、文化、社会に対する問題意識や危機意識を表明したグラフィックメッセージでもある。動物の表現方法は、写真、絵画、イラストレーション、グラフィックなどさまざまだ。

写真:藤塚光政

写真:藤塚光政

2022年5月から7月まで、ローマ日本文化会館でも同タイトルの企画展が開催された。こちらの企画展も、地球温暖化による40℃超えという記録的な暑さにも関わらず、多くの来場者を数え話題に。同展は現在、規模を縮小してパリ日本文化会館へ巡回中だ。

デザイン:永井一正

デザイン:永井一正

古くは花鳥画、琳派、浮世絵などを彩ってきた動物たち。日本美術の伝統を引き継ぎ、奔放で色彩豊か、そして繊細で、理性より感性に訴える独特のグラフィック表現に着目したい。

動物会議 緊急大集合!
会期:開催中~3月25日(土)※日・祝休館
開館時間:11時〜19時
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
所在地:東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル 1F / B1
入場料:無料

(IKKI)

* グラフィックデザインの収集・保存を目的に、国内外のグラフィックデザイナーに代表作を寄贈してもらう事業のこと