東京・銀座の「ギャラリー厨子屋」にて、6人の作家が仏や調度品などの”祈りのかたち”を表現した「6人の祈りのかたち」展が、2月24日(金)まで開催される。

陶芸や木工、ガラス、鉄、漆工芸などさまざまな技法を凝らした作品が並ぶ同展。工芸に興味がある人は足を運んでほしい。

約180点もの作品が集う「6人の祈りのかたち」展

「6人の祈りのかたち」展の会場となるのは、銀座にある「ギャラリー厨子屋」。同施設では2002年の開廊以来、“祈りのかたち”をテーマにさまざま工芸家やクリエーターと企画展を行ってきた。

今回は、清水真由美氏、成田聡子氏、久村卓氏、藤野征一郎氏、米田文氏、若杉聖氏の6名が登場。それぞれの個性や技法を活かした約180点もの作品が展示される。

優しい色合いの器を手がける清水真由美氏

いくつもの陶土を組み合わせ、万華鏡のような世界を生み出す陶芸家・清水真由美氏。

「自身の創作物が、仏さまのアイテムとして選ばれることが嬉しい」と話す清水氏は、ボウルやカップの他、挑戦してきた火立てを新作として発表。暮らしに取り入れたいやさしい色合いの器約20点が並ぶ。

立体で世界観を表現する成田聡子氏

成田聡子氏は、ガラスと木を組み合わせ、自身の世界観を立体として創り出す造形作家。今回約15点の作品を披露する。

遠くを見つめる目線、目を閉じ微笑む表情、胸に手を当てる姿など、それぞれの作品から何かを感じずにはいられない。

久村卓氏は自然の力をベースに作品を制作

「なるべくかたちを創らない」ことを軸に、工芸の技法を使い、自然の力を頼りに作品を生み出す美術家・久村卓氏。

断ち切った木の繊維や、溶断技法から生まれた鉄の溶け具合など、小さな作品だからこそ、じっと見る中で見えてくるものがある。期間中は厨子や仏など、約30点の作品が並ぶ。

素材の質感・造形を引き立てる藤野征一郎氏

藤野征一郎氏は、素材の持つ力を重んじ、質感や造形表現を深く追求する漆工芸作家。

その姿勢から生まれる作品は、引き込まれるような深さと不思議さを持つ。今回の企画展では厨子や仏座、位牌やオブジェなど約10点を披露。

九谷焼で楽しい世界を生み出す米田文氏

伝統的な九谷焼の技法を使い、ユーモア溢れる小さな楽しい世界を生み出す陶芸家・米田文氏。

今回は彼女の作品の中でも人気の高い仏さまの他、涅槃図をもとにした乙女たちの群像などの新作も並ぶ。約30点の中には「果物奉納 バナナ」といった作品タイトルもあり、思わずほっこり。

繊細かつ柔らかな白磁作品を生み出す若杉聖子氏

若杉聖子氏は、鋳込み技法から生まれる繊細で柔らかな白磁が特徴の陶芸家。

無釉で焼き上げられる肌の質感は手に馴染み、丁寧な仕事から生まれるシャープな線は、洗練された佇まいを醸す。今回は一輪挿しや香立、盃など約50種類、90点近くが並ぶ。

それぞれの作家が思い描く「祈りのかたち」を、直接会場で目にしてみては。

「6人の祈りのかたち」展
会期:開催中〜2月24日(金)※火曜定休
開廊時間:11時~19時 ※最終日は17時閉場
会場:ギャラリー厨子屋
所在地:東京都中央区銀座1-4-4 ギンザ105ビルB1F
入場料:無料

(IKKI)