1873年に開催された「ウィーン万博」。今年はその開催から150周年にあたり、現地ウィーンでは1年間にわたり、特別展をはじめ様々な記念行事を開催する。

1873年に開催されたウィーン万国博覧会

1873年5月1日から10月31日まで開催された「ウィーン万国博覧会」は、「文化と教育」をテーマに掲げ、会場のプラター公園には、収容人数2万7000人の産業パビリオン「ロトゥンデ」が建設され、その左右に約200棟の建物が並んだ。

参加国はヨーロッパ諸国の他、アメリカ・ブラジル・エジプト・ペルシャ・インド・中国・日本など35か国に上り、半年の会期で約726万人が訪れた、当時最大規模の博覧会だった。

万博開催により都市インフラと産業が大きく発展

万博開催を前に、ウィーンでは上下水道・鉄道網・宿泊施設などの都市インフラの整備・拡充が大々的に行われた。

また、万博をきっかけに多くのビジネスも花開き、クリスタル製造の「J. & L.ロブマイヤー社」、ピアノ製造の「ベーゼンドルファー社」は、万博を機にウィーンを代表する老舗ブランドとして世界中に認められた。

ジャポニズム旋風を巻き起こしたウィーン万博

参加した35か国のうち、もっとも注目を集めたのは日本だった。漆器・陶磁器・和紙・絹製品などの美術工芸品、名古屋城の金のシャチホコ、鎌倉大仏の模型などの巨大展示物は、西洋の人々の関心を引き、その後のヨーロッパ美術界に多大な影響を与えた。

また、プラター公園に造成した日本庭園は、神社・鳥居・反り橋が揃う本格的なもので、その工事段階から大きな話題を呼んだという。

1年間にわたり様々な特別展・記念行事を開催

ウィーン市観光局では、今年1年間「ビジョンと門出」のテーマのもと、ウィーン万博を振り返りながら、現代ウィーンの魅力も発信していく。

博物館・美術館などで開催する特別展・記念事業

「ウィーン産業技術博物館」では、5月2日（火）～7月2日（日）の期間、「Women at Work -ウィーン万博女性館150年」展を開催。ウィーン万博で初めて設置され、女性の労働環境を可視化した「女性館」を振り返る展覧会を行う。

「ウィーン世界博物館」では、1年にわたり毎週土曜日11時15分から、「記念ガイドツアー：1873年ウィーン万博とユーゲントシュティール」行い、万博関連の展示物に関するガイドツアーを実施する。

「MAK応用美術博物館」では、高級クリスタルブランド「J.＆L.ロブマイヤー社」の回顧展「きらめきと魅惑：ロブマイヤーの200年」展を開催。また、6月21日（水）～10月22日（日）の期間、「1873年ウィーン万博再訪：ヨーロッパのオリエントとしてのエジプトと日本」展と題し、ウィーン万博をきっかけに興った、19世紀のオリエンタリズムを多角度から捉える展覧会を行う。

この他、プラター公園に産業パビリオン「ロトゥンデ」を再現したエンターテインメント施設「パノラマ・ウィーン」を建設。さらに、10月24日（火）には「アルプス湧水水道開通記念噴水」の除幕式が行われる。

150年前に開催された「ウィーン万博」は、日本が国家として初めて正式に参加した世界的行事で、当時の日本の出品物の多くは、今もウィーンに留まっているという。

今年1年間にわたり、記念事業や祝典が行われるウィーンを訪れ、過去の成果を継承しながら未来へと進む都市を体感し、万博の意義に触れてみてはいかがだろう。

（高野晃彰）