ワクチンを巡る論争
ところが、デサンティスは、新型コロナワクチンに関して思い切った行動に出る。
昨年12月に、「新型コロナワクチンに関連してフロリダ州民に対して行われた可能性のある犯罪と不正行為」について調査を行うべく、州最高裁に大陪審の招集を求めた。また、州に公衆衛生公正委員会を立ち上げ、米疾病対策センター(CDC)や米食品医薬品局(FDA)、米国立衛生研究所(NIH)が出した勧告について精査させることを約束した。フロリダ州最高裁はデサンティス氏の要請を認め、調査のための大陪審を招集した。
また年明けの1月17日、「コロナ対策の義務から永久の自由を実現する」と題した声明で州内の企業や学校がマスクの着用を義務化したり、ワクチン接種を求めることを永久に禁止するなどの提案を発表した。
一方のトランプは、在任中ワクチンの強制的接種に強く反対しつつも、ワクチンの開発・投入を「ワープ・スピード作戦」と名付け推し進め、デサンティスと対抗する文脈でそれが米国人の命を救ったと現在も主張している。
さてこの論争はどちらに軍配が上がるのか?
端的に言って、もし下記不等式が成り立つ場合はデサンティスに上がり、ワクチンで手を汚しちまったことになるトランプは窮地に追い込まれる。逆に成り立たない場合にはトランプの主張に軍配が上がる。
ワクチンの副作用等のリスク > ワクチンによるメリット
なお、トランプもデサンティスも、新型コロナに関する中国の責任追及をして行く事については、その姿勢を鮮明に表し一致している。
戦争にも匹敵したコロナ禍は、今後高感染性・強毒化変異株が流行しない限り、世界に夥しい死者と後遺症患者を残しつつ終戦して行く。
共和党大統領選予備選の有力2候補の論争が、ワクチンのメリットとリスクについての解明を促進するなら、世界にとっても望ましい事だ。
デサンティスのワクチンに関する姿勢は製薬会社等の利益と対立することになるが、その姿勢を貫けるのか、トランプに対抗して差別化するための方便の要素が強いのか、あるいはJFKのような運命を辿るのか、ダイナミックで目を離せぬ展開が予見される。