コストコなど会員制倉庫型店舗が躍進!

 いよいよそのランキングを見ていこう。

アメリカ小売業 顧客ニーズ適応度ランキング(2023年1月)
順位 社名 22年1月順位からの変動
1 H-E-B 1
2 コストコホールセール 7
3 アマゾンドットコム -2
4 ウェグマンズ 0
5 サムズクラブ 3
6 マーケットバスケット -3
7 アマゾンフレッシュ -2
8 トレーダージョー -1
9 ウィンコフーズ 12
10 BJ’s ホールセールクラブ 4
11 ターゲット 0
12 アルディ -6
13 ショップライト 9
14 ウォルマートネイバーフッドマーケット -4
15 ウォルマート -2
注:米主要小売63社が調査対象で、約1万世帯に消費者アンケートを実施 出所:英ダンハンビーの資料から、三井物産戦略研究所作成

 これら3点で高い評価を受けたのが、H-E-B(HEバット、本社:テキサス州)で、2020年以来の首位に返り咲いた。H-E-Bは18〜19年が4位、20年1位、21〜22年2位とずっと高ランクをキープしている。

 「価格」と「品質」、そして「デジタル」の組み合わせは、従来の「価格」のみとは捉え方が異なっていることも、本調査からわかる特筆すべき事項である。

 これについて、海外流通に詳しい三井物産戦略研究所の高島勝秀氏は、「従来は、小売企業や店舗として、商品が全体的に安い(お得)ことが求められていたのに対して、現在は、会員特典や顧客毎のプロモーションの重要性が高まっている」と指摘する。

 実際、2位コストコホールセール(Costco)、5位サムズクラブ(Sam’s Club)、10位BJ’s ホールセールクラブ(BJ’s)はいずれも会員制倉庫型店舗を展開する企業だ。会員が受けられる低価格や特典と、アプリを活用した買い物の利便性向上等が評価され、順位を上げていると考えられる。

 一方で、オンライングロサリーやデジタルを活用した顧客体験の向上について対応していないトレーダー・ジョー(Trader Joe’s)は毎年順位を落としている(18〜19年は1位だった)。

 顧客を知りそのニーズに適合していくことが小売企業の実力であるといえるが、その度合いを測る上でダンハンビーの調査は有益で、市場動向を見る上では要注視である。

 前回2022年1月に発表されたランキングの解説はコチラ

提供元・DCSオンライン

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