トルコのコカ保健相によると、トルコ南部で6日未明に発生したM7.8の大地震で11日現在、トルコ側で2万2327人、シリア側で3553人の死亡が確認され、負傷者は約8万5000人だ。世界から68カ国、8000人以上の救援隊が現地の救助隊と共に生存者の捜索活動を進めている。犠牲者の数は今後さらに増えると見られている。
特に、内戦下にあったシリア北西部イドリブ県は反体制派の支配地域で大きな被害が出ているが、救助作業が遅れている。シリアのアサド政権は10日、トルコ大地震で甚大な被害が出たシリア国内での支援について、政府支配地域外を含む被災地に物資を提供することを認めたばかりだ。

地震の被災地シャンルウルファを視察するエルドアン大統領夫妻(2023年2月11日、トルコ大統領府公式サイトから)
トルコ大地震でこれまで100万人以上の住民が家を失い、夜は外やテントで過ごせざるを得ない状況だ。現地では夜には気温が氷点以下となる。11日現在、2000回の余震が記録されている。崩壊するビルや住居は建築当局の許可なく建設されたケースが多いというから、人災の面もあるわけだ。トルコからの情報では、違法建築の容疑で建設関係者が逮捕されたというニュースが流れている。捜査が進めば、さまざまな欠陥や原因が浮かび上がってくるだろう。
オーストリア国営放送の夜のニュース番組で地震の様子を放送していた。画面はシリアの状況に移った。1人の男性が地べたに座って、「家族ががれきの下にいるが、救援する道具がない」と泣き声で救援隊の到着を待っていた。別の男性は、「内戦で砲丸が降る中も私たちは生き延びてきたが、今回は地震で家も家族も失った」と言う。男は「9人の子供のうち幸い3人は生き延びたが……」と呟き、「戦争は人間の責任だが、地震は神の業だ」と言うと、それ以上言わずに、泣き出した。男性の口から「神の業だ」という言葉が飛び出した時、驚いた。敬虔なイスラム教徒なのだろう。彼の呟きからは神を糾弾するような響きは感じなかった。男は事実を呟いただけだったのだろう。