割と最近、私たちの祖先? またはその近縁種? かもしれない「魚の脳の化石」が見つかりました。
残念ながら恐らく5億年前とされる今日の私たちにつながる感情の原点を獲得したご先祖の化石ではありません。
それでも、約3億年前の化石です。特に脳は化石になりにくいので、3億年も昔の脳の化石が見つかるなんてスゴイことです。これだけでも、何億分の1の偶然が重なって今日に届いた奇跡のギフトと言えるでしょう。
ただ「めっちゃ古いだけ」ではない脳の化石このニュース、実は「めっちゃ古い脳の化石が見つかった」だけでは終わりません。注目されているのはその形です。
実は現代の魚類と私たち人間のような陸生脊椎動物には脳の発生過程に違いがあります。
私たちの脳は、まずワニの脳と言われる脳幹が形成されます。それを包み込むようにウマの脳(大脳辺縁系)が形成されます。
そして、ワニの脳もウマの脳も包み込むように、下から上に向かって外側から内側に折りたたまれるかのようにニューロンが積み上げられます。
こうして、最終的にワニの脳もウマの脳もすべて包み込むように大脳皮質が形成されるのです。
一方で、現代の魚の脳は内側から外側に伸びるように発生します。
まあ、現代の魚の大脳皮質は学習能力の余裕よりも効率性を重視して、相対的にシンプルな構造になっているので、折りたたむような発生は必要ないのかもしれません。
ですが、シンプルだからといってバカにしてはいけません。損傷の回復が早く、状況に応じてメスの脳がオスの脳に変更される種もある…など、柔軟性は私たちより高いです。
私たちの脳と魚の脳、どちらの脳が優れているとは一概には言えません。