迷惑行為を働く人達の心理
ここからは迷惑行為を働く人たちの心理を考えたい。筆者は当事者ではないので推測部分も多いが、あながち的外れではないと思っている。
まず迷惑行為をしたり動画で仲間内でシェアしあうということは、こうした稚拙な行動を「楽しい」と感じる感性の持ち主であることがわかる。世の中の大多数の人は、迷惑行為を見せられたら「面白い・楽しい」とは感じず店舗側の苦労を想像して不愉快になるのが普通だ。つまり、この部分の回路がズレている。
彼らも迷惑行為という意味合いは理解していると思うのだが、それでもやってしまうのは「多少のイタズラくらいは許してくれるだろう」「店員さんは自分に文句をいってこない」という甘えによるものだ。
店舗で働く側はどうしても立場が弱い。特に接客をする立場の多くがパート・アルバイトである。たとえ眼前で迷惑行為を目撃しても、面と向かって「迷惑だからやめなさい」とは言いづらい。下手をすると利用客から恨みを買ったり、反撃を受けるリスクもあるためだ。つまり、迷惑行為者のほとんどは感性が幼稚であり、店舗側に甘えていることが想像できる。
また、食事やシャンプーを盗む者についていえば、「経済的な得をしたい」という心理に裏打ちされているのだろう。彼らの脳内を占め、行動を支配するのは「価格」であり、不当に持ち帰りをすることは自分でつけられている値札の価格を下げる感覚で、お得に感じているという推測が可能だ。
そうでなければ、見つかって叱責を受けるリスクを負ってまで、このような迷惑行為に及ぶ理由がつかない。仮に2000円のビュッフェなら、通常食べられる分量だけタッパーで持ち帰れば、実質半額で手に入ったようなものだ。その結果、提供者側に不利益が被ることまでは想像できないし、人によっては想像した上で「それでも構わない」というジャッジを下している可能性は否定できない。
こうした心理に基づいて彼らは迷惑行為に及び、自ら動画をSNSにアップ、そして自分と利用店舗の両方を地獄に落としてしまう。本質は自爆テロと何も変わらない。
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一番の防衛策は価格を上げることで、彼らが利用したいというインセンティブをなくしてしまうことだ。難しいのは、99%の普通の利用者にまでその影響が及んでしまうことと、全国展開チェーンではビジネスの採算が取れなくなってしまうことである。結局、監視の目を光らせるなどでしかない。現場で働くワーカーの苦労を想像すると気の毒でならない。
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