今冬はなぜ、立て続けに沿岸部でダイオウイカが目撃されたのか

ここからは窪寺博士に直接お話しをお伺いすることができたので、ご紹介したい。まず今冬も2014年〜2015年のように、発見数は増えていくのだろうか。「たしかに2021年〜2022年にかけて、対馬暖流が例年に比べ流量が多かったので、今年と来年は多いかもしれないですね。しかし、そこは私たちが知り得ない海洋構造が関係してくるので、確実にとは言えません」、とのこと。長年、ダイオウイカを研究してきた窪寺博士にとっても、やはり予測するのは難しいようだ。

次に、目撃されたダイオウイカはほとんどが弱っているように見えるが、その点についても伺った。論文でも、何らかの理由で衰弱したものが浮上し、北西の季節風によって日本海沿岸各地に漂着するとあったが、改めて窪寺博士に伺ってみた。「冬になると水温が下がりますが、これが一番の原因ではないかと推測しています。日本海は、冬になると表層から冷えていき徐々に中層まで冷えていきます。さらに水温の低下でダイオウイカの餌まで減るので、冬に弱る個体が出てきてしまうのではないでしょうか」、とのことだった。

「日本海はすごく不思議な場所」と窪寺博士が言うほど、世界的にもダイオウイカが多く目撃される珍しい場所のようだ。また、もしダイビング中にダイオウイカに遭遇しても、その個体は弱っており、人間を襲うなどということはまず無いらしい。皆さまにおいては、ぜひ慌てずに静かに観察してあげてほしい。

お知らせ
2月4日(土)16時45分〜17時58分にNHK総合チャンネルで放送される「TV70年!蔵出し映像まつり」の中で1分40秒ほどではあるが、窪寺博士が撮影したダイオウイカの映像が流れる。ぜひご覧ください。

提供元・oceanα

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