涼をとる実用品として、あるいは季節感を表現する小物として、古くから日本の暑夏を彩ってきた扇子。
名古屋扇子のメーカー「末廣堂」が、名古屋友禅「赤塚染工場」とのコラボレーション企画「名古屋友禅扇子シリーズ2023」を始動した。
黒を基調とした5種類のデザインを用意し、応援購入サービスMakuakeにて4月27日(木)まで先行販売を実施する。
人々の暮らしとともに歩んできた末廣堂
江戸時代に、京都から名古屋市西区に伝わったという名古屋扇子。
京都ではおもに婦人物や舞扇、飾扇といった高級品を取り扱うのに対し、名古屋扇子は祝儀扇や紳士物の量産品など、日々の暮らしに寄り添った扇子の生産が主体とされる。
中でも末廣堂は、大正元年の創業から100年以上、伝統的製法を守りながらもオリジナリティあふれる扇子を作り続けている。
一方で名古屋友禅の魅力は「渋さ」だという。華やかな京友禅や、繊細な加賀友禅に比べ、落ち着いた単色濃淡と伝統文様が特徴とされる名古屋友禅。
型染めで表現されるシャープな線や、絹の美しい発色も独特だ。シックなデザインは普段のファッションにも取り入れやすく、使う人を選ばない。
今回のコラボレーションで使われるのは、伝統工芸士・赤塚順一氏が手がけた「型友禅」の生地だ。型友禅とは下絵の代わりに型紙を使い、色ごとに型紙を用意して絵柄を重ねていく技法。
美しい模様に染め上げるためには熟練した技術が必要で、色数によっては一着に数百枚以上の型紙を使って染めていく。
個性的な扇骨と伝統文様が特徴
今回の商品ラインナップは、紳士用・婦人用合わせて5種。紳士用として「唐草」「鮫小紋(さめこもん)」「六瓢箪(むびょうたん)」、婦人用として「六瓢箪」「鶴」がある。
もっとも個性が出るのは、アルミ骨を採用した「唐草」だろう。親骨の部分にクールなアルミ素材を使用し、見た目にも涼しさを演出している。
伝統文様には意味があり、「唐草」は強い生命力で途切れることなくツタをのばしていくことから「繁栄・長寿」を表す。
価格は一般販売予定価格39,600円のところ、15%OFFとなる「超早割」33,600円など複数のリターンを用意する。
「鮫小紋」「六瓢箪(紳士用)」の2種には、艶感がアクセントになるクリア加工骨を採用。
「鮫小紋」は鮫の肌が鎧のように硬いことから「厄除け・魔除け」を意味し、「六瓢箪」は瓢箪が6つで「無病息災」「身代わり」になるとも言わる。一般販売予定価格20,900円、プロジェクトでは「早割」17,700円など。
縁起物としてよく知られる「鶴」は、長寿や夫婦円満を意味する。婦人用の表記となっているが、寸法の区別に過ぎないため好みの柄で選んでよいという。一般販売予定価格は19,800円で、プロジェクトでは15,800円から。