絶句する質の劣化が次々と噴出

首相を支えるべき荒井勝喜・秘書官が差別発言をして、更迭されました。機微に触れる差別問題に対するあまりにも無神経な表現といい、政権の中枢にいながら、「言っていいことと、言ってはいけないこと」の区別ができない。この官邸官僚の思慮のなさに驚きます。

このような人物に支えられる日本の政府、政治は大丈夫なのだろうかとも思います。岸田首相も絶句したに違いない。

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「隣に住んでいるのも嫌だ」、「同性婚を認めたら国を捨てる人がでてくる」。差別主義者だって公の席では、こんな品性を失った表現はまあしないでしょう。事務次官候補との評価だったそうです。自分のようなエリート以外の存在は認めたくないといった口ぶりです。

難関の国家公務員試験をパスして主要官庁に採用されて出世し、総理秘書官にまで就いた人物の判断能力がこれほどまで劣化していることに驚くのです。官僚の世界のトップを走ってきた人物の失態が物語るのは、彼らが操るこの国の政府、政治はどこへ漂流してしまうのかという不安です。

官邸で広報を統括し、総理の演説の執筆やメディア対応をするキーパーソンでした。何をどう発言すれば、どのような反応、反響が国内、国際的に起きるかを読む能力を必要とするポストです。ちょっと信じられない暴言、放言、というより本音、本心が噴出した。