「グランドセイコー」がセイコー腕時計110周年を記念し、職人の技が光る特別な限定モデルを2月24日(金)に発売する。希望小売価格は1,815,000円(税込)だ。

全世界で500本限定のレアアイテムだけに、セイコーファンはもちろん、時計愛好家からも注目を浴びている。

セイコー腕時計110周年のテーマとグランドセイコーの歴史

セイコーは1881年に時計の修繕と販売から事業を開始し、1892年に掛け時計の製造に着手。大正初期、懐中時計が主流の時代、やがて来るであろう腕時計の時代に備えて腕時計の試作・研究を続け、1913年に国産初の腕時計「ローレル」を完成させた。

そして1960年、スイス製が高級腕時計の代名詞とされていた当時、それまで培ってきた時計技術の粋を集めて「世界に挑戦する国産最高級の腕時計をつくる」という志のもと、「グランドセイコー」は誕生した。

「初代グランドセイコー」は、国産では初めてスイス・クロノメーター検査基準優秀級規格に準拠したモデルで、発売価格は25,000円。当時の上級国家公務員の初任給が12,000円であったことから、破格の高級品であったことがうかがえる。

そんなセイコーの腕時計110周年のテーマは「人に寄り添い、共に時を刻む」だそうだ。

初代グランドセイコーを黒漆と高蒔絵で表現した特別モデル

今回誕生したモデルは、初代グランドセイコーの復刻デザインと日本の伝統工芸「漆芸」を組み合わせた特別な逸品。

ダイヤルには、漆の中でも生産量が限られた希少な純国産の漆を使用。国産漆は海外産の漆と比較して、乾きが早く扱いも困難だが、耐久性・耐光性に優れている。それだけでなくグランドセイコー専用に調合した黒漆は、艶やかな発色も魅力だ。

漆を塗布した上には、金沢の漆芸家・田村一舟(たむらいっしゅう)氏が、加賀漆芸の精華ともいえる繊細さと力強さを併せ持った高蒔絵を施した。

漆で12カ所のバーインデックスと「Grand Seiko」のロゴを塗り重ねて盛り上げた上に、金粉を蒔いて丹念に磨き、立体的に仕上げる。ゆっくりと筆先のみを動かして描くため、熟練の技と高い集中力を必要する難度の高い技法だ。

軽さと美しさを両立する、ブリリアントハードチタン製のケース

ケースと中留の素材には、グランドセイコー独自の「ブリリアントハードチタン」を採用し、軽さと美しさの両立を追求。

「ブリリアントハードチタン」は、通常のチタンと同様の軽さながら、標準的なステンレススチールの約2倍の硬度を持つ先進素材だ。このチタンよりも白い素材の表面を、熟練の研磨師が磨き上げる。この輝きにより、黒漆の美しさがより際立つのだ。

サファイアガラス製のシースルーバックの裏ぶたからは、精緻な鼓動を刻むムーブメントの様子を見ることができる。特別なモデルの証として、「LIMITED EDITION」とシリアルナンバーの刻印も。

ストラップには、グランドセイコー初の鎧織(よろいおり)を採用。かつて武士の鎧兜を編み上げた、日本の伝統的な手法で製作している。付け替え用ストラップには、上質で柔らかく、装着性の高いレザーを採用した。

グランドセイコーはこれまでの歴史の中で「長く愛用できること」を追求した時計づくりを行ってきた。美しくも耐久性を持つ「漆」と、グランドセイコー専用の先進素材である「ブリリアントハードチタン」を採用した同モデルは、その信条を象徴する特別な限定モデルと言えそうだ。

(IKKI)

12時側と6時側に付いたバンドをつなぐ部品で、バックルとも呼ばれる
※本記事の内容は2月2日(木)時点の情報であり、予告なしに変更になる場合がある