作る手間が段違い
最後に飲食の現場に目を向けてみましょう。
お店などでノンアルコールペアリングというものを見かけたことのある人もいらっしゃるかもしれません。
ノンアルコールペアリングとは、一皿一皿の料理にノンアルコールドリンクを合わせながら楽しむというものです。
「意外と良いお値段するのね」そのような気持ちになるのもわかります。
しかし、特にお店のオリジナルドリンクなどを提供されているお店は、定期的に一からドリンクのレシピ作り、仕込みなどをする必要があります。そのため、抜栓してすぐに提供できるワインなどのお酒とは比べものにならない時間と労力が注ぎ込まれています。
高いだけではない、ノンアルコール飲料の付加価値とは
しかしながら、ノンアルコール飲料は値段が高いだけではありません。ノンアルコール飲料ならではの楽しみ方もあります。
属人的なクラフト生産ということは、それだけ作り手の深い思いやコンセプトが込められており、そんなバックストーリーに思いを馳せながらノンアルコール飲料を飲むのは格別です。
また、お酒が入っていなくとも、お酒のような香りを楽しませてくれる原料に思いを巡らしながら、「何が入っているのかな」と嗅ぎ分け探してみるのも一興です。
そして、レストランのノンアルコールペアリングは、お店の色が出やすい部分で、シェフが作ったのか、ソムリエさんが作ったのか、バーテンダーさんが作ったのかにもよっても味わいや方向性は変わってきます。
まさに多くの作り手が出てきている今、ドリンクそのものにとどまらず、ドリンクの向こう側を思いながら飲んでみれば、きっと別の魅力を発見できるに違いないです。
<著者プロフィール>
安藤裕
株式会社アルト・アルコ代表取締役大学在学時に渡仏、以降ワインの業界で経験を積み、2018年同社起業。著書に『ノンアルコールドリンクの発想と組み立て』(誠文堂新光社)。