極貧スラムからマサレ・ユナイテッド誕生へ
MYSAは、ケニア国内のサッカークラブに参加しているスラムで暮らす若者達に対して、地域社会の奉仕活動などのコミュニティ開発や、HIV教育(エイズ防止策)、ジェンダー問題解決のための男女平等を支援するプロジェクトを紹介している。現在(2023年1月末時点)2052のサッカークラブの30,000人以上の若者が同協会のプロジェクトに参加。サッカーに着目したことがきっかけで、設立当初に比べると急速に興味を持ち参加する若者が増加したそうだ。
そして、同協会にも独自のサッカークラブ「マサレ・ユナイテッド」が誕生。会長は創設者のボブ・マンロー氏で、現地のクラブニックネームは「スラム・ボーイズ」だ。
「スラム・ボーイズ」のニックネームを返上するかの如く、2023年には驚くべきことに、ケニアのプレミアリーグに所属するプロクラブへと成長したマサラ・ユナイテッド。ケニアの代表チームへも選手を輩出している。
さらに男子だけではなくマサレ・ユナイテッド・レディースという女子チームも存在し、ケニアのプロサッカーリーグである女子プレミアリーグに所属。男女共に、国内最上位のプレミア選手達が同協会から輩出されるようになった。
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MYSAの成功の秘密:当事者達による運営
MYSAのプロジェクトに参加することによって、若者たちは社会的、政治的問題の認識を高め、また他者との信頼関係やコミュニティの構築方法などを学ぶことができる。難しい部分としては、彼らが取り組みを持続できるか否かだが、サッカーが導入されたこと、それを様々なプロジェクトと結びつけることによって、楽しみながら目標を持って継続することにも成功している。
例えば、サッカーの練習後に「クリーン・アップ・プロジェクト」という奉仕活動に参加をした人はポイントを獲得。このポイントを貯めると、学費に換えることができたり、学校に空きがない場合でも少なくとも図書館を使用できるように手配をするなど、工夫がされている。
これらのユニークなプロジェクトが全て当事者の若者達によって企画・運営されていることが、そんな同協会の取り組みの最も大きな成功の秘密だ。自分自身がどうやったらサッカーと共に、その他の課題を楽しんで学んでいけるのかを考え、他の人々と相談し企画をすること自体が大きな成長へと繋がっている。
今後、MYSAを見本にしたスポーツ協会などが世界に誕生し、少しずつサッカーが国際問題解決策として拡大していくことを期待したい。