トレーニングの取り組み方は十人十色、始めたきっかけや目的ももちろん違う。ここでは、トレーニングに励む愛好家達の軌跡を辿ってみよう。今回紹介するのは、中学校で教師として働きながらボディビルコンテストに挑戦する小池優真さん(24)。生徒たちに「勉強しなさい」「運動しなさい」と言いながら、自分が何も挑戦していないのは説得力がないと思い、ボディビルに打ち込むようになった小池さんのトレーニングライフを追った。

ボディビル先生の原動力は“生徒たちの声”【筋肉道Vol.73】
(画像=『FITNESS LOVE』より)

中学から大学まで柔道を没頭し、大学では大阪府学生大会100kg級で優勝などの実績を残した小池さんは、大学4年生のときゴールドジムに入会した。
「高校3年生のころからボディビルやボディメイクに興味はありましたが、柔道の体重制限(100kg級)もあり、減量ができずにいました。部活引退をきっかけに本格的にボディメイクを始めました」

中学校の教師に就いた小池さんは、1年目は仕事に追われたためボディビルの大会に出ることを断念。2年目になると、仕事にも余裕が生まれ、マッスルゲートへの出場を決めた。
「100kgほどあった体重を5カ月で15kg絞り、85kgで出場しました。ボディビルジュニアの部では優勝できましたが、一般の部75kg超級では2位と、嬉しさとともに悔しい結果にもなりました」

1カ月3kgずつというペースでの減量は大変だったというが、つらいときは生徒たちの声が力になったという。
「朝4時半に起きて有酸素運動を1時間、仕事の後に2時間ほどのウエイトトレーニングをしていました。残業も少なくはないのでトレーニング時間の確保が大変でしたが、生徒たちの声を聞くと頑張ることができました。例えば、クラスの生徒たちから『めちゃめちゃ絞れてきましたね』とか『頑張ってください』などを言ってもらいました」

小池さんはボディビルを通しての出会いが教師という仕事にも生きているという。
「学校という限られた世界の中では出会えない人たちとトレーニングを通して様々な情報交換ができます。そこで知ったことや、筋トレを通して自分自身が学んだことを生徒たちに伝えています。先生は生徒たちに『勉強しなさい』、『運動しなさい』と言いますが、生徒たちからみて『先生何も頑張っていない』『何も挑戦していない』という状態では説得力がないように感じました。ボディメイクは目に見える変化があるので、『先生も頑張っているから僕も頑張ろう』と生徒たちに言ってもらえるのがうれしいです」

最後に小池さんは、自身の目標への意気込みを語った。
「来年度(2023年度)、3年生という進路を決める学年を受け持つことができれば、生徒たちが納得のいく進路を掴み取ることを最優先にしながら、自分もボディビルでの目標に向かっていけたらと思っています。大阪クラス別選手権、大阪選手権での優勝。そして日本クラス別選手権85kg以下級での優勝を目標に頑張りたいです。『夢を持つのは素晴らしいことだよ』というのを身体を張って見せたいです」