日本市場でも高い人気を誇るドイツ車とイタリア車。質実剛健で高品質、しかし保守的であるドイツ車。対して優れたデザインや官能的なサウンド、しかし品質や耐久性に難があるイタリア車。このようなイメージを持たれている方も多いのでは?そこで今回は、ドイツのメカニズムとイタリアのデザインを組み合わせた合作をご紹介!文・西川 昇吾
車種のご紹介をする前に「カロッツェリア」について少しご紹介をします。
「カロッツェリア」という言葉はイタリア語で馬車や自動車をデザイン・製造する業者を表します(英語ではコーチビルダーと言われる)。
ドイツ車に限らずイタリアでデザインされたクルマのほとんどがこのカロッツェリアでデザインされたクルマとなっています。そのため「このクルマはイタリアのカロッツェリア○○でデザインされ…」と言われたりします。
4輪自動車として世界最多の生産台数を誇るフォルクスワーゲン ビートル(初代)のコンポーネントに、イタリアのカロッツェリア、ギア社デザインのボディが組み合わされたのがカルマンギアです。企画はドイツのコーチビルダーであるカルマン社が行いました。こう聞くと車名の由来は説明するまでもありませんね。
一見すると長いフロントノーズから「FRかな?」という印象を持つカルマンギアですが、ビートルベースなのでRRです。ビートルベースのため、当時として比較的安価かつメンテナンス性に優れたクーペであったため人気を博しました。ビートルと共有可能なパーツも多いため、現在でも元気で走っている個体が多い印象です。
イタリアの著名な工業デザイナー「ジョルジェット・ジウジアーロ」が設立した、イタリアのカロッツェリア「イタルデザイン」によってデザインされたのが初代ゴルフです。
ゴルフはハッチバックと言われるボディ形状の採用、FFレイアウト、フロントストラット、リアトーションビームというサスペンション形式…と現代のコンパクトカーの「定番」を作り上げ、成功させたクルマです。
後に追加されたスポーツグレード「GTI」は実用的な大衆車でもスポーティーな走りを楽しめる「ホットハッチ」という新たなカテゴリーを作り上げました。初代ゴルフはまさに新時代のベーシックを作った一台なのです。
ポルシェ初の量産車「356」。1959年のフランクフルトショーで発表されたB型をベースに、イタリアの自動車メーカーアバルト(現在はフィアットグループ)がチューンをし、イタリアのカロッツェリア「ザガート」デザインのアルミボディ組み合わさったのがこのクルマです。
現在では911のベースモデルに付けられる名前である「カレラ」ですが、当時はスパルタンなモデルにのみ付けられていた名です。もちろんこのクルマもレースの為に誕生し、タルガ・フローリオやル・マン24時間レースなどに出場しました。わずか20台のみ(21台という説もある)が生産された希少なモデルです。
3シリーズの2.8リッターモデル…ではないですよ!1960年代に活動を停止したカロッツェリア「トゥーリング」。そのトゥーリングが1930年代にデザインしたのがこの328です。
当時としては空力に優れたボディ形状で、ミッレミリアなどで勝利を収めています。20世紀で最も影響力があった自動車を決める「カー・オブ・ザ・センチュリー」にもノミネートされました。