野々村芳和氏(左)観月ありさ氏(右)写真:Jリーグ

Jリーグ30周年オープニングイベントが、1月25日に東京都千代田区のMY PLAZAホールにて開催された。

トークイベントには、Jリーグチェアマンの野々村芳和氏や女優の観月ありささんのほか、監督としてヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)を同リーグ初代チャンピオンに導いた松木安太郎氏、元Jリーガーの中村憲剛氏、内田篤人氏、槙野智章氏が登壇。同リーグの“これまでと今後”について語り合った。


中村憲剛氏 写真:Jリーグ

30年で築かれたJリーグの魅力

最初のトークテーマは、30年の歴史で築かれたJリーグの魅力について。内田氏と中村氏がフリップにキーワードを書いたうえで、観月さんへのプレゼンテーションを行った。

中村氏:(キーワードは)地域密着。ピッチ上のプレーやパフォーマンスは当然なんですけど、Jリーグは今60クラブありまして、ほぼ全国をカバーしている状態です。Jクラブで地域を盛り上げることが可能になっていて、今は社会連携活動というものを行っています。地域の課題解決にJクラブやJリーガーが取り組むことで、お子さん達にJリーガーへの憧れを持ってもらい、(Jリーガーが)お年寄りの方にも活力を与える。ただサッカーをピッチ上でやるだけでなく、ピッチ外の活動をたくさんしているのも魅力だと思うんです。

内田氏:安心と安全。日本は本当にそうです。僕はドイツでプレーしてましたけど、発煙筒が飛びます。警察官や機動隊も、(両チームの)サポーターを会わせないようにしています。そのなかでJリーグは子どもから大人まで通うことができ、安全に家まで帰れる。これはすごく大事で、魅力の一つだと思います。試合だけじゃなくて練習も見に行けます。選手の素顔や会話を見たり聞いたりできるので、Jリーグは魅力的なものになっていると思います。


内田篤人氏 写真:Jリーグ

Jリーグの未来について

内田氏と中村氏によるプレゼンテーションが終わり、トークテーマがJリーグの未来に移る。全60クラブが輝くために、いかにリーグ全体で露出を増やし、認知拡大を図っていくべきか。この点について登壇者が私見を述べた。

中村氏:(より大事になってくるのが)選手の心構えですね。受けた取材をただこなすのではなく、自分からどんどん出ていくのが大事かなと。僕自身、川崎フロンターレという特殊なクラブ出身なのですが、サッカーとは関わりが薄い教育番組に出演させて頂いたことで、子どもたちや親御さんがスタジアムに足を運んでくれました。(認知拡大の)きっかけなんて、どこにあるか分からない。何でも(出演しなさい)とは言わないんですけど、どんどん出て、話して、発信していくことで(選手たちの)価値が上がっていく。上がることでメディアにももっと出れると思います。

内田氏:今だとInstagram、TikTok、YouTube、色々ありますよね。どこまで出すか(発信するか)という境界線は必要なんですけど、グラウンド上以外の選手の素顔が見れると、魅力の一つになると思います。

松木安太郎氏 写真:Jリーグ

松木氏:ゲーム(試合)映像を、もっと色々な場面や場所で見たいですね。地方に行くと、映像を見たくてもなかなか見れないことがあります。(サッカーで大事なのは)ゴールシーンだけじゃないと思うんです。ダイジェストもそう。僕は現役を引退して、監督をやって、その後にテレビのお仕事をさせて頂きました。30年前は、色々と批判されましたね。現場にいた人間が、メディアに出るなんておかしいという、そんな時代も知っています。(この30年でJリーグは)進歩したなと思います。

野々村氏:その地域にあるクラブの映像が、その地域で見れる回数が増えれば、ファンも増える。このための取り組みは確実にしていきます。もちろん、無料で見れるものです。

槙野氏:地方からの底上げは大事かなと。浦和レッズ時代も沢山のメディア活動をしてきましたけど、僕の原点はサンフレッチェ広島時代にあります。地方クラブがローカル番組や、サッカー以外の情報番組に出る。サッカーを知らない方たちに向けて発信する。こうしたことを地方クラブがメディア戦略に組み込むことで、サッカーの層を上げていくことをしないといけないのかなと思います。


写真:Jリーグ

1993年5月15日に開幕し、その後も数々の名勝負によって彩られてきたJリーグ。選手個々のプレーやチーム戦術の質の向上も然ることながら、これからも全てのJクラブがその地域の住民に活気を与え、人々の生活を彩る存在であり続けることを願いたい。