ロシア国営企業ロスネフチが20日明らかにしたところ、ドイツのゲアハルト・シュレーダー元首相は同社の監査役会の仕事を辞任する意向という。詳細な理由については公表されていない。シュレーダー氏は、「取締役会の任務を延長することは不可能だ」と語ったという。

プーチン氏と踊った外相の「その後」
(画像=河野太郎外相と会合するクナイスル外相(2018年7月5日、オーストリア外務省内で撮影)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

それに先立ち、欧州議会は19日、ロシアの国営企業から巨額な役員報酬などを得ている欧州の政治家に対し制裁リストに載せるよう欧州委員会に要求した提案を、賛成多数で採択した。具体的には、シュレーダー独元首相(78)とオーストリアのカリン・クナイスル元外相(57)の2人の名前が制裁リスト候補に挙がっている。

制裁リスト候補に挙がった政治家

欧州議会はそのテキストの中で、肯定的な実例として、エスコ・アホ元フィンランド首相、フランソワ・フィヨン元仏首相、そしてヴォルフガング・シュッセル元オーストリア首相らの名前を挙げ、「彼らは最近、ロシア企業での地位を辞任した」と指摘する一方、クナイスル元外相やシュレーダー元首相にも同じ決断を下すように要求している。欧州委員会が議会の提案を受け入れ、2人の政治家を制裁リストに載せれば、2人の元政治家の資産は凍結されることになる。

また、ドイツ連邦議会予算委員会は同日、シュレーダー氏(首相在任1998年10月~2005年11月)の事務所の閉鎖とスタッフの削減を決定した。理由は「シュレーダー氏はロシア企業のロビイストに過ぎず、ドイツ連邦政府の如何なる職務も受け持っていない」と説明している。ただし、元首相の年金と警備費用は引き続き提供するという。

これまでにプーチン氏を一切批判しないシュレーダー氏

ロシア軍のウクライナ侵攻後、親ロシア派だった政治家、芸術家、スポーツ選手が次々とプーチン氏に距離を置き始めているなか、シュレーダー氏はこれまでプーチン氏を一切批判していない。シュレーダー氏はプーチン大統領から国営企業ロスネフチの監査役会の仕事を得て、年間60万ユーロ(約8100万円)を受け取り、それに加え、独ロ間の天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の株主委員会メンバーとしての報酬は25万ユーロ(約3370万円)と見積もられる。

ほぼ同額の報酬がガスプロムの新しい監査役会のポジションに対しても支払われている。シュレーダー氏がロシア国営企業の報酬を放棄しないため、同氏が所属している社会民主党(SPD)から「党の恥だ」という声が高まっていた。