プーチンはヒトラーではない
ウクライナ戦争を第2次世界大戦と比較する点については、「理解できるが、プーチン大統領をヒトラーと比較する論調は間違っている。プーチンはヒトラーではない。ウクライナでロシア軍が行っているのは戦争犯罪であり、特定の民族を対象としたジェノサイドではない」と主張している。
ウクライナに武器供給するなど軍事支援することで戦争をエスカレートさせる危険性が出てくる、との指摘に対して、「犯罪行為に対して過剰に反応することによって生じる危険より、過小評価して生じてくるリスクのほうが深刻だ。隣国が武力侵攻された時、それを過小評価して対応するなら、次のリスクを生み出すことになる」と説明する。
ショルツ首相のウクライナ政策を評価
ウクライナ戦争への英国のジョンソン首相とドイツのショルツ首相の対応が対照的と受け取られている。クラーク教授は、「ジョンソン首相は自身をウインストン・チャーチル元首相(在任1940年~45年、51年~55年)のような気分で振舞っているが、滑稽だ」と批判する一方、ドイツのショルツ首相の慎重なウクライナ政策を評価する。
クラーク教授は、「戦争前、ロシアのラブロフ外相や2、3の中国の政治家たちは欧米諸国が支配してきた時代は終わり、ポスト欧米世界が到来すると主張してきたが、実際は違ってきた。欧州諸国はウクライナ危機で結束を強め、北大西洋条約機構(NATO)はその役割を果たしている。西側主導の世界はまだ終わっていない」と語った。
そして「プーチンとロシアは異なっている。戦争に反対する勇気あるロシア国民もいる」と指摘、「ロシアを見捨ててはならない。将来のために正当な役割をロシアに提供すべきだ」と述べている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2022年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
文・長谷川 良/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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