
昨季のセリエA王者と、コッパ・イタリアの覇者が相見えるスーペルコッパ・イタリアーナ。1月19日(日本時間)にサウジアラビアにて行われたこのコンペティションで、ミランとインテルが対戦した。
キックオフからボールが互いの陣地を行き来したなか、前半10分にインテルが右サイドから攻撃を仕掛ける。
右ウイングバックのマッテオ・ダルミアンが敵陣にボールを運び、その後エディン・ジェコ、ニコロ・バレッラの順で小気味良くパスが繋がる。バレッラのペナルティエリア右隅からのグラウンダークロスに、左ウイングバックのフェデリコ・ディマルコが左足で合わせ、先制ゴールを挙げた。

インテルは[3-1-4-2]の布陣を基調とするハイプレスと、[5-3-2]による撤退守備を使い分けて試合をコントロール。GKアンドレ・オナナと5バックを中心にミランの反撃を食い止めると、前半21分の自陣からの素早いリスタート(フリーキック)からジェコがゴールを奪い、リードを2点に広げた。
後半32分にも、ミラン・シュクリニアルの自陣からのフリーキックに反応したラウタロ・マルティネスが追加点を挙げ、勝負あり。最終スコア3-0で、インテルがスーペルコッパ・イタリアーナを制した。
今回のミラノ・ダービーの勝敗を分けたポイントは何か。この点について解説する。

猛威を振るったインテルのハイプレス
ネッラズーリ(黒と青)の最大の勝因は、緻密かつ獰猛なハイプレスでミランのパスワークを封じたこと。
ジェコとマルティネスの2トップが、基本布陣[4-2-3-1]のミランの2センターバック(シモン・ケアーとフィカヨ・トモリ)にプレスをかけ続けたほか、ミランの両サイドバック(ダビデ・カラブリアとテオ・エルナンデス)が自陣後方でボールを受けようとした際には、ここにディ・マルコとダルミアンがアプローチ。2センターバック間へ降りてボールを受けようとしたボランチのイスマエル・ベナセルも、インテルの中盤の底ハカン・チャルハノールやインサイドハーフのヘンリク・ムヒタリアンに追跡された。
ミランの左サイドバック、テオ・エルナンデスが自陣のハーフスペース(ピッチを縦に5分割した際の、左右の内側のレーン)にポジションをとった際には、インテルのMFバレッラがアタック。右のハーフスペースを駆け上がり、ミランの攻撃に厚みを加えようとしたカラブリアにもムヒタリアンが付きまとうなど、相手の両サイドバックのポジション移動やインナーラップに対するインテルの備えは万全だった。

ミランの遅攻のキーマンであり、この試合でも右のハーフスペースを上下動し味方からのパスを捌こうとしたブラヒム・ディアスには、3バックの一角アレッサンドロ・バストーニとチャルハノールが適宜マークを受け渡して対応。バストーニの最終ラインからの果敢な飛び出しも然ることながら、敵陣ではベナセル、自陣ではディアスを封じてみせたチャルハノールの守備の貢献度は抜群に高かった。背番号20のトルコ人MFが、守備面で複数のタスクを完遂したこと。これもネッラズーリの勝因のひとつと言えるだろう。
日本時間1月5日のセリエA第16節では、それまでリーグ戦無敗記録を継続していた首位ナポリを破ってみせたインテル。今季序盤の不調から抜け出しつつある同クラブが、国内リーグ後半戦や2月から始まるUEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16に向けて攻守の練度を高められるかに注目だ。