定年後も元気なうちは働き続けたいというシニアが増えている。シルバー人材センターや一般企業はその受け皿としてシニアアルバイトを募集している。

しかし、シニアが定年後に従事するアルバイトには意外と危険な作業が多いのが実情だ。この記事では、シルバー人材センターなどの情報をもとに危険度が高いアルバイトを3つご紹介する。

老後に仕事を続ける人は男性の約7割、女性の約5割

電通総研2015年に定年退職経験者を対象に実施した調査では、男性の約72%、女性の約55%が定年後も仕事を続けていることがわかっている。そのうち56.6%は、同じ会社やグループ会社へ再雇用され働いている。もはや60歳の定年で退職する人のほうが、少数派となっているのだ。

危険な定年後アルバイト3選

定年後にできるアルバイトの中には危険度の高いものもあるので注意が必要だ。具体的には、以下のようなものが挙げられる。

1位:樹木の剪定等

シルバー人材センターによれば、2022年度の重篤事故(死亡または1~6ヵ月の入院および後遺障害事故)が最多の危険度1位のアルバイトは「樹木の選定等」である。

<事故の原因>
・高所からの転落
・ハチの毒によるアナフィラキシーショック
・熱中症 など

「高所からの転落」は2021年、2022年1~7月ともに重篤事故の原因ダントツ1位であり、大腿部骨折などの大けがが多い。また、虫刺されによるアナフィラキシーショックでは死亡者も出ており、この作業が大きな危険を伴うことは一目瞭然だ。

2位:除草作業

シルバー人材センターで重篤事故が多い危険度2位のアルバイトが「除草作業」だ。

<事故の原因>
・斜面からの転落
・ハチの毒によるアナフィラキシーショック
・蛇の毒による重篤な体調不良
・熱中症
・草や石のカケラなどが目に入る など

こちらも転落やハチに刺される事故、熱中症が多いが、毒蛇に咬まれる事故も発生している。また、草や石のかけらが目に入って失明したケースもあり、危険度が非常に高いといえる。

3位:屋内・屋外の清掃作業

シルバー人材センターの重篤事故多発アルバイトの3位は「屋内・屋外の清掃作業」である。

<事故の原因>
・スリップによる転倒
・階段からの転落 など

清掃後の滑りやすい床や階段では転倒や転落のリスクが高くなるが、足腰が衰えたシニアはそのリスクがさらに上がる。それが作業中の重篤な事故につながりやすいことは言うまでもないだろう。

逆に「安全な」定年後アルバイトって?

老後の仕事は当然選択肢が限られるが、それまでの経験やキャリア活かせる仕事もある。ここでは、老後でもできる仕事を4つ紹介しよう。

マンションや寮の管理業

住み込みのマンション管理人は、高齢者に向いている。家賃はもちろん光熱費もかからないことが多く、老後も賃貸住宅に住み続ける予定の人にとってはメリットが大きいだろう。仕事内容は、共用部の管理や清掃などだ。業務のない時間は基本的に自室で自由に過ごせるが、拘束時間は長く、職場と住居が同じであることにストレスを感じるかもしれない。長期の旅行など趣味を楽しみながら働きたい人には、あまり向かない。

ウェブメディアのライター

ウェブメディアのライターも、高齢でもできる仕事の1つだ。在宅で仕事ができ、専門性が高ければ、比較的高い報酬も期待できる。文章を書くのが好きな人や、資格を持っている人におすすめしたい。現在はクラウドソーシングサイトなどもあり、登録すればすぐに仕事を始めることができる。人と直接会わなくてもできる仕事なので、人と対面で仕事をしたい人には向かないだろう。

コンサルタント・アドバイザー

これまでの経験や知識、技術などを活かして、コンサルタントやアドバイザーとして活躍する道もある。コンサルタントやアドバイザーとして収入を得るには、それまでのキャリアや専門性、人脈などが重要であり、退職後に一から始めるは難しいだろう。将来を見据えて、現役のうちにキャリアの棚卸しを行い、人脈を築いておきたい。金融や不動産などに携わってきた人であれば、お金に関する相談に幅広く応じるファイナンシャルプランナーなどの選択肢もある。

塾や習い事の講師

教えることや子どもが好きな人は、学習塾の講師を検討してもいいだろう。講師の役割はただ勉強を教えるだけでなく、勉強への取り組み方や意識を変えるという部分も大きいため、人生経験豊富なシニアに向いている。シニアを積極的に採用する学習塾もあるくらいだ。

趣味や特技を活かし、楽器や語学、書道など、習い事の講師として活躍する道もある。「ココナラ」などの自分のスキルや得意なことを売買できるウェブサービスもあり、生徒の募集もインターネットを使ってこれまでより簡単にできるようになっている。

老後でも働ける体力と健康状態を保つ努力を

現役時代と違い、老後は体力、気力ともに低下し、ケガや病気にも注意が必要である。今のうちから健康的な体づくりに励むことで、定年後に働けるだけでなく、より長く人生を謳歌できるようになるだろう。そのためにも、食事や運動など、まずは日々の生活週間を見直してみてはいかがだろうか。

文・MONEY TIMES編集部