1. 昨日の発表で私がいちばん注目したのは、85万人の人口減少よりも、出生数が21年からさらに100万人以上減って956万人になったことだ。21年も前年から大きく減少したが、「これはコロナの影響で(エッチもできない!w)仕方ない」と思っていたが、昨年の減り方は「コロナ」だけでは説明できない。いよいよ少子化が加速しているということだ。
2.日経は「働き手が今後10年で9%減」と報じている。「労働人口の減少が中国の経済成長にとどめを刺す」と見る人も多い。しかし、中国には一つ「奥の手」がある。定年延長だ。
これも私のコーホートモデルで推計したことがある。結果は今後一定の時間をかけて、定年を男60→65歳、女55→60歳に延長していけば、労働人口比率は維持できるというものだった。
日本でも過去20年、子育てが終わった女性の労働市場への復帰(パートの主婦)と定年を過ぎた男性の再雇用が拡がったおかげで、人口動態がもろに労働力減少に跳ね返ることはなかったが、似たようなことが中国でも起きる可能性がある。だから、「働き手が急減する」と思い込むのは考えものだ(ただ、それは期待していたほど早く年金を貰うことはできなくなるということなので、国民の抵抗を受けているらしい)。
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編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2023年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。