2020年以降、主に北米において、ビットコインが本格的なアセットクラスとして認知され始めたことで、機関投資家のデジタルアセット市場への参入が相次ぎました。

また、事業会社の参入も加速し、暗号資産・NFTを活用したゲームやメタバース領域の発展によって、デジタルアセットのユースケースが拡大しました。

国内においても2021年は個人投資家の暗号資産市場への資金流入が増加しましたが、その一方で、Web3の発展には欠かせない事業会社や機関投資家の参入において課題が浮き彫りになりました。

そうした中で、2022年6月に自民党が発表した「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる「骨太の方針」には、Web3の事業環境を整備していく前向きな文言が盛り込まれ、国内の大手企業も続々とWeb3領域への参入を表明するなど期待が高まっています。

今回は日本におけるWeb3の参入障壁と今後の展望についてビットバンク株式会社の廣末紀之氏にご寄稿いただきました。

デジタルアセットが注目されている理由

そもそもWeb3には未だ明確な定義はありません。Web3の概念を初めて提唱したのは、イーサリアム(Ethereum)の創設メンバーであるギャビン・ウッド氏であると言われています。彼のブログを参考にすると、Web3は一言でいうと、非中央集権型のインターネットサービスであると考えられます。

また、インターネット発展の歴史においては、GAFAなどの一部の巨大IT企業がインターネットビジネスを支配してきた実態があります。そのため、インターネットサービスの提供者はそれらの企業に依存せざるを得ない状況が続いています。

これは中央集権型のインターネットサービスの典型的な例です。一方、この支配的な構造から脱却を目指そうとしているのが、その対局にある非中央集権型のインターネットサービス、Web3であると私は捉えています。

そして、非中央集権型のインターネットサービスであるWeb3を可能とするアーキテクチャこそ誰でも参加できる公開されたブロックチェーンであるパブリックブロックチェーンとそれに紐づく暗号資産やトークン、NFTなどのデジタルアセットであると考えています。

したがって、Web3を推進することは、パブリックブロックチェーン上のデジタルアセットの活用を推進していくことと同義であり、その文脈においてデジタルアセットに注目が集まることは必然と言えます。