「立つ鳥跡を濁さず」という諺がある。任務を終えて立ち去る者は見苦しくないように後始末をして去っていくべきだという内容だ。同じような意味合いを込めてローマ・カトリック教会の最高指導者フランシスコ教皇の語ったことがイタリアのメディアでちょっとした話題となっている。

フランシスコ教皇(2023年1月15日、バチカンニュースから)

フランシスコ教皇は15日のアンジェラスで、「奉仕の精神で任務を遂行する人は誰でも、『さようなら』と言うことを学ばなければなりません。任務を終えた者はその地位、権限を脇に置いて退く方法を知る必要があります」、「自分の任務を達成した後は、役割や地位に固執するのを避け、他の人のために残しておく必要があります」と述べている。

フランシス教皇は聖書に登場する人物から洗礼ヨハネを例に挙げている。曰く、「洗礼ヨハネは、多くの人がイエスに会う喜びを持つことができるように、信者を獲得して名声と成功を得ることに関心をもたず、イエスを証した後、後退した」と説明し、「真の教育者の特徴は人を自分に縛り付けないことです」と述べている。

バチカンウォッチャーによると、教皇は教皇庁を含む教会内の様々な職務に従事する聖職者に対して、「地位と立場に拘らず、時が来たらさようならといって立ち去るべきだ」と呼び掛けているわけだ。教皇を含む教会の地位は終身オフィスと受け取られてきたが、フランシスコ教皇はその慣習、伝統を禁止した新しい使徒憲章「プレディケートゴスペル」を提示、「5年間の任務を最高2期に制限し、それを全うした後、出身地の教区や自治体に戻るようにする」というわけだ。画期的な内容だ。