日本共産党や上記諸団体等の反対論に通底するのは、軍事対軍事の悪循環に陥る戦争への危険な道であるとして「反撃能力」保有と防衛費増額による日本の抑止力強化を否定し、何よりも憲法9条に基づく「平和外交」による話し合い解決を主張する平和外交一辺倒だということである。

米国の抑止力で担保されている「専守防衛」

しかし、自衛のための抑止力を持たず、「平和外交」だけで国が守れるならば、古今東西を問わず、世界各国が常備軍を持つ根拠を説明できず、ロシアによる国際法違反のウクライナ侵略もない。そして、反対論者が金科玉条とする、日本を守る「専守防衛」も、その実態は日本国内における米軍基地と米国からの「核の傘」の借用による抑止力の存在を大前提としているのである。

反対論者は、これらの抑止力によってこそ、日本を守る「専守防衛」が担保され持続可能である厳然たる事実に目を背けている。もちろん、そのために日本は米国に対して基地提供の負担や思いやり予算等の重い代償を払っている。

平和外交だけで日本を守れるのか

このように、日本を守る「専守防衛」自体が日米同盟による抑止力の存在を大前提とするのであり、この抑止力がなくなれば、反対論者が金科玉条とする、日本を守る「専守防衛」自体が成り立たないのである。

このことからも、反対論者が共通して主張するような、自衛隊や日米同盟の抑止力を否定する「平和外交」一辺倒では到底日本を守れないことは明らかである。今回の岸田政権による「反撃能力」保有と防衛費増額は、日米同盟の抑止力を補強し日本の「平和外交」を補完することによって、反対論者が金科玉条とする、日本を守る「専守防衛」を持続可能とするものに他ならないのである。