食と健康のニーズを探る研究所を新設へ

住友商事では現在、事業展開の準備段階として、サミットとトモズのポイント連携、会員情報の統合を進めているところだ。 「サミットとトモズを掛け合わせることでデータ分析の解像度が上がる。食品スーパーだけではなく、ドラッグストアのデータがあるという強みを生かしていきたい」(竹野氏)。

購買データだけでなく、住友商事がサミット、トモズと組んで、サミット店舗に試験導入している健康コミュニティコーナー「けんコミ」のデータも活用する。同コーナーでは、来店客がセルフチェックできる健康測定器を設置するほか、常駐するトモズの管理栄養士が栄養指導や健康相談を行っている。ここで得られるデータのデジタル化を進め、購買行動の変化、行動変容などを把握し分析に生かしていく考えだ。

人口の2割をカバー!サミット、トモズを擁する住友商事が描く「住商首都経済圏構想」とは
(画像=住友商事、サミット、トモズの3社が展開する「けんコミ」、『DCSオンライン』より引用)

さらにライフスタイル事業本部内に、「エイジング」や「食と健康」など特定のテーマをもとに未来のライフスタイルを洞察するための研究所を新設する。研究所はデータ分析というよりも、消費者の声を吸い上げ、将来的に求められる商品やサービスを探ることに主眼を置く。2023年4月には研究所に専任メンバーを配置する予定だ。

さらなるM&A、業務支援も選択肢に

住商首都経済圏構想が実現し首都圏で一定の成功モデルができあがれば、ほかの地域にも同様の事業を拡大し、サミットやトモズ以外のほかの小売にもデータ活用基盤を開放していくという。食品スーパーのM&A(合併・買収)についても機会があれば検討するが、資本系列化だけでなく、サミット経営で得た知見を生かした業務支援を行うことも視野に入れる。

提携した小売に対して、住友商事の持つデジタル支援機能も活用する。社内横断組織としてDX(デジタル・トランスフォーメーション)センターを設置しているし、メディア・デジタル事業部門傘下にDX支援を手がけるインサイトエッジ、デジタルビジネス開発のSCデジタルメディアなどを抱えおり、系列の事業会社に対するAI活用やデータ分析などのDX支援を行っている。こうした住友商事の持つリソースも事業展開の一翼を担うことになる。

提供元・DCSオンライン

【関連記事】
「デジタル化と小売業の未来」#17 小売とメーカーの境目がなくなる?10年後の小売業界未来予測
ユニクロがデジタル人材に最大年収10億円を払う理由と時代遅れのKPIが余剰在庫を量産する事実
1000店、2000億円達成!空白の都心マーケットでまいばすけっとが成功した理由とは
全85アカウントでスタッフが顧客と「1対1」でつながる 三越伊勢丹のSNS活用戦略とは
キーワードは“背徳感” ベーカリー部門でもヒットの予感「ルーサーバーガー」と「マヌルパン」