今回は過去の政府会議における議論を踏まえながら、ありうる政策の方向性と、その論点を明らかにしていきます。

薬局のイメージ katleho Seisa/iStock

規制改革側が想定している制度の仕組みはこれだ

実はこのテーマは、12月のデジタル臨調で取り上げられる前から、議論の俎上に上がっていました。規制改革会議のWG(ワーキンググループ)です。

2022年3月のWGでコンビニチェーンのローソンが提案した内容は、事前に販売許可がある店舗(A社)で薬剤師などと相談の上購入し、受け渡しは薬剤師などが介在しないコンビニなどの別の店舗(B社)がA社の委託を受けて行うという制度改正です。A社が医薬品の管理に責任を負うとする提案です。

実はローソンは2020年にも同様の提案をしていましたが、その時の内容と比べると、医薬品の管理の責任を薬剤師が在籍するA社に負わせ、医薬品の品質管理をデジタルで行うことを明確化するなど、2022年3月はより踏み込んだ提案内容となっています。

この提案内容については2022年6月に閣議決定された規制改革実施計画の中で、2022年度中に検討を開始することが明記されました。

デジタル臨調の資料の内容は、この規制改革実施計画の記載と大きく変わるものではなく、むしろ、2024年6月までに結論を得る、というデッドラインが決められたことに意義があるといえそうです。

■2022年規制改革実施計画 厚生労働省は、医薬品医療機器等法における店舗販売業の許可要件として、特定の場所に位置する店舗に陳列設備、貯蔵設備などの構造設備と、登録販売者などの有資格者の設置を求めている現行制度について、デジタル技術の利用によって、販売店舗と設備及び有資格者がそれぞれ異なる場所に所在することを可能とする制度設計の是非について、消費者の安全確保や医薬品へのアクセスの円滑化の観点から、検討し、結論を得る。 (令和4年度検討開始)

(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)

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[千正康裕]の官邸は今日も間違える(新潮新書)

編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2023年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。