いまやオークションサイトはもちろんフリマアプリでも、自動車本体が販売されています。そこでは、さまざまなクルマが個人間で売買されていますが、いずれにしてもそれなりの出費が強いられることになるので、なるべく失敗はしたくないですよね。ここではクルマを個人売買する際の、注意点について解説していきます。文・赤井 福
ネットオークションなど個人売買でクルマを購入した場合、クルマの所有権を変更しなければなりません。この「所有権の変更」をするには、陸運支局に行き、車検証上の所有者名義変更を行う必要があります。
その際に必要な書類は、旧所有者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)と委任状、譲渡証、新所有者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)と委任状、車検証原本、残り車検期間をカバーする自賠責保険証券です。
※委任状は、本人以外の者が手続きをする際に必要になります。
自動車税の支払い、そして年式の古い高額車両の場合は自動車取得税がかかる可能性もありますので、型式指定番号と類別区分番号から、自動車取得税額をチェックしておきましょう。インターネットで確認できます。
名義変更には、新しく自動車を登録する管轄の陸運支局への届け出が必要です。公的機関への申請となるので、軽微なミスも許されません。管轄する陸運支局の近くには、必ず行政書士事務所がありますので、手数料はかかりますがプロに任せるのもいいでしょう。
まずは、売る側も買う側も書類をしっかりと揃える必要があります。売る側の印鑑証明に記載されている住所が、車検証に記載された住所と異なっているとさらに面倒です。購入の前に、車検証が所有権譲渡の手続きをスムーズに行える状態にあることをチェックしましょう。
売買が成立したら、購入したクルマをどのような手段で手元に持ってくるのかも考えなければなりません。
ネット上ではボタンをポチッと押すだけの簡単手続きですが、実際にクルマを売っている人がどこにいるのかによって、自分で取りにいけるのか、陸送業者に任せるのかなどが変わってきます。
また車検が残っていて、公道を走行してもいい状態のクルマなのか、車検切れで積載車などがないと運べない状態なのかもしっかりチェックしましょう。もっとも簡単なのは、車検が残っていて動かせるクルマを、売り手の自宅まで取りに行くことです。クルマの車検が残っているかは、必ずチェックしましょう。
車検切れのクルマを買って、再登録するのは大変な道のりなので、個人売買ではできるだけ車検が残っているクルマを選ぶほうが良いでしょう。そのほうが名義変更も輸送もしやすくなります。
ネットでの個人売買は、お手軽な方法ですが、メルカリでは4枚、ヤフオクでも12枚までの写真しか載せることができません。実際に、写真でコンディションチェックができるかというと、自動車査定士の資格をもっている私自身も不可能だと思います。
現車を見ても、見落としやすい修復歴はありますし、細かな傷、さらにはエンジンなどの機械類にいたっては、動作している状況を確認しなければ判断がつきません。
よほどの信頼がおける業者であればまだしも、個人の主観による「いい状態」というのは信頼できるものではありませんので、現車確認は必須事項だと思います。
不安な場合は、各都道府県に中古自動車販売協会があり、客観的な目で見た査定書を作成してくれますので、出品者に相談して、OKであればそういった機関を利用するのも良いでしょうね。
なにもかもインターネットで購入できる時代になりましたが、登録制の自動車には、簡単に個人間売買できない手続きが潜んでいることを忘れてはいけません。
また、ネット情報のみでのコンディションチェックは、プロでも至難の技です。個人売買は、信頼できる売り手を見極めて行いましょう。