小売の常識覆す!担当者が明かす、
SHEINが圧倒的安さを実現できる3つの理由とは
SHEINの担当者は今後の課題について、「SHEINの安さを支えるビジネスモデルは、今までの小売産業の常識を超える複雑な内容になっており、世の中にまだ理解されていないのが現状だ。そのため今後は、なぜ当社が手ごろな値段で豊富な商品を展開することができるのかという理由を開示していく」と話す。
この「商品を安価に提供できる理由」は3つあると担当者は説明する。「商品の少量多品種生産」「追加生産時における生産量とタイミングの最適化」「商品企画から発売の超短期化」だ。
まず、「商品の少量多品種生産」について。
SHEIN担当者は「SHEINは数千におよぶサプライヤー工場と、先進的なITシステムで効率よく連携している。これにより、毎日数千点におよぶ新商品について、100~200点単位での小ロット生産を実現できている」と説明する。
2つ目の理由が「追加生産時における生産量とタイミングの最適化」だ。ECサイトが主な販売経路であるSHEINでは、各商品の販売状況をリアルタイムでモニタリングし、販売量やスピードで各商品の再生産の量やタイミングを精緻に推定している。そのため、必要な商品量だけ適切なタイミングで再生産を行う、「生産量の最適化」に成功した。
「EC販売とオンデマンド生産による独自の供給モデルを成立させたことにより、回転率が大幅に改善され、通常25~40%といわれている余剰在庫水準を1ケタ台まで引き下げることができている」(SHEIN担当者)。
3つ目の理由は、商品企画から発売までを「超短期化」したことだ。SHEINでは、工場付近にメガ倉庫を構え、そこから世界中の消費者に商品を直接発送している。このことにより商品企画からお客の手元に届く発売までの期間を通常2~3週間程度まで超短期化することに成功したという。
SHEIN担当者は「このように、時間や物流における“ムダ”を徹底的に抑え、より安い商品価格を実現し、消費者に還元している」と述べた。
SHEINが自らを「環境問題解決の先行者」と語る理由とは?

サステナビリティ意識の欠如が取り沙汰されるSHEINだが、「当社はサステナビリティを促進する取り組みを多く行っており、そのことも発信していく予定だ」(SHEIN担当者)と話す。
たとえば、前述した平均余剰在庫水準の引き下げにより、ファッション業界で一般的だった『大量生産・大量廃棄』から脱却し、環境問題の解決につなげたい考えだ。ほかにもSHEINは、2022年6月に、衣類の循環維持や衣類廃棄物の削減、衣類廃棄物の影響を受けた地域の環境改善や修復を支援する「EPR基金(拡大生産者責任基金)」を設立している。
「22年5月にはリサイクルポリエステルを使用した新コレクション『evoluSHEIN』の発表も行っている。われわれはむしろファッション業界における環境問題解決の先行者といっていいだろう」(SHEIN担当者)。
SHEIN担当者は「ビジネスモデルや社会的な取り組みを積極的に発信していくことで、消費者に『SHEIN』についてより深く理解してもらいたい」と今後の展望を話す。
提供元・DCSオンライン
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